2022 Fiscal Year Annual Research Report
First-principles based statistical thermodynamics of space charge at battery interfaces
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
22H04606
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笠松 秀輔 山形大学, 理学部, 准教授 (60639160)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間電荷層 / 電荷蓄積 / イオン伝導体 / 第一原理計算 / 統計熱力学 / グランドカノニカルモンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らオリジナルの第一原理基統計熱力学計算プログラムabICSを全固体Liイオン電池構成材料とその界面の原子スケールモデルに適用する。平衡状態における電荷蓄積の有無やその位置を調べるとともに、非平衡定常状態に対応した計算手法の開発にも挑戦し、固体電池の開発で常に問題となる界面抵抗の微視的起源を解明する。これによって、従来の現象論的モデルによる界面現象の記述を超えた原子スケールの描像を獲得することを目指す。 今年度はまず、金属とLiイオン伝導体界面における空間電荷層形成の現象論について理論的な整理を行った。半導体のショットキー接合と同様に、イオン伝導体中のフェルミレベルと金属のフェルミレベルが整列するように空間電荷層が生じるのが原則である。イオン伝導体中のフェルミレベルはイオン欠陥の電荷中性条件で決まり、Liイオン伝導体の場合は、Liイオン空孔と格子間Liイオンの濃度が釣り合うようにフェルミレベルが決まる。基本的な欠陥形成エネルギーの考察から、これは中性Liの化学ポテンシャルに対応する。このため電極間の静電ポテンシャルの差が化学ポテンシャルの差と対応する。 上述のような状況を原子スケールからシミュレーションするためには、化学ポテンシャルを制御したグランドカノニカルモンテカルロ計算を実施する必要がある。今年度はこれをabICSに実装し、基本的な動作確認を行った。2023年度はこれをバルクおよび界面系に適用する。 また、領域内連携の一環として、標準単結晶試料として共有されているLa_xLi_yNbO3のLaおよびLiの分布の解析のためにabICSを適用し、Liがクラスタリングすると安定であるという結果を、立方晶ペロブスカイト換算の3x3x4のユニットセルで得た。より大きなセルで同様の結果が得られるか計算を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面モデルの構築およびabICSの界面モデルへの適用については、安定な構造モデルの構築や計算コストの問題に手間取り、当初予定していたほど進んでいない。一方で、2年度目に予定していたグランドカノニカルモンテカルロ法の実装をほぼ完了することができており、全体としてはおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したグランドカノニカルモンテカルロ法プログラムをLi電極活物質、Li電解質、コート層、およびそれらの界面に適用する。Liポテンシャルを制御することで、実験で制御される電位に対応した空間電荷層形成の原子スケール描像を獲得し、界面抵抗の微視的起源を解明する。
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Research Products
(2 results)