2022 Fiscal Year Annual Research Report
選択的スプライシングが生み出すオートファジー機能の多様性に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04632
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村田 知弥 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60713485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / スプライシング / アルギニンメチル化 / 脳-神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジー必須遺伝子 ATG16L1 には、α, β, γ の3つのスプライスバリアントが存在する。α, β isoform は様々な組織に発現する一方で、γ isoform は主に脳や心臓に特異的に発現する。本研究では未解明である ATG16L1 γ isoform の産生機構や特徴的なタンパク機能、生体内における役割について検証する。 (1) 神経細胞におけるATG16L1 isoform 産生機構の解析。マウス脳およびマウス初代培養神経細胞を用いた解析により、ATG16L1 isoform は神経の発達に伴い α/β isoform から、γ isoform へとシフトしていくことが判明した。またこれは アルギニンメチル化酵素 PRMT1 欠損により障害されることが判明した。 (2) ATG16L1 欠損細胞株の作製と各 isoform の機能評価。CRISPR/Cas9 システムにより、ATG16L1 欠損 Neuro2a 細胞を樹立した。各 isoform を再発現させ、LC3 の脂質化について検証したところ、γ isoform は β isoform に比べ脂質化レベルが低いことが判明した。また、γ isoform は β isoform に比べ強くリン酸化されていることが判明した。 (3) ATG16L1-γ 欠損マウス、ATG16L1-S278A マウスの作製。in vivo においてATG16L1 isoform, リン酸化の意義を検証するため、2系統のマウスを新たに樹立した。これらのマウスは実際に目的の遺伝子変異を有し、タンパクレベルでも γ isoform の欠損、リン酸化の消失を確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進んでおり、結果も順調に得られている。新規遺伝子改変マウス系統の樹立も円滑に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
(A) ATG16L1 選択的スプライシングを制御する因子の機能解析 in vivo BioID により、アルギニンメチル基転移酵素 PRMT1 の下流でATG16L1 スプライシングを制御するタンパクを同定し、その機能解析 を行う。 (B) in vivo における ATG16L1γ タンパク分子機能の解明 ATG16L1-γ 欠損マウス、ATG16L1-S278A 変異マウスの表現型解析を行う。脳組織を採材しATG16L1 タンパクのアイソフォーム発現とリン酸化状態、LC3 タンパクの脂質化状態を評価する。また、脳組織 RNA-seq 解析により、全遺伝子発現に対する ATG16L1 変異の影響を検証する。 以上の結果をまとめ、学会発表に加え、論文として投稿する予定である。
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