2022 Fiscal Year Annual Research Report
オートリソソーム形成における脂質修飾型ATG8の機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 郁子 (小山郁子) 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10447948)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / リソソーム / 膜融合 / 繋留因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オートリソソーム形成過程に焦点を当て、哺乳類マクロオートファジーにおけるオートファジー関連(ATG)タンパク質ATG8のホスファチジルエタノールアミン(PE)修飾(以下、ATG8-PEと示す)の機能を解明することを目的としている。今年度は、ATG8-PE化不全細胞でオートリソソーム形成が少ない理由が、リソソームの融合効率が低いためではないかという仮説を立て、これについて複数の繋留因子の関与を評価した。オートファゴソームとリソソームの融合を行うSNARE複合体を保持するための繋留因子として、HOPS複合体、EPG5, PLEKHM1, TECPR1など複数が知られている。これらの中には、アミノ酸配列内にATG8の哺乳類ホモログLC3との結合領域(LC3-interacting region, LIR)を持つものがあり、LIRを介したATG8-PEとの結合がオートファゴソームとリソソームの繋留に必要だと言われている。しかし、繋留因子はSTX17やRAB7などとの結合能ももつことから、ATG8-PEとの結合がリソソーム融合にどの程度寄与しているか、研究領域でも混乱があり、丁寧に整理する必要があった。そこで、野生型細胞とATG8-PE化不全細胞において、繋留因子群のオートファゴソームへのリクルート様式に違いがあるかどうかを調べた。その結果、ATG8-PE化不全細胞においてEPG5とPLEKHM1の局在に変化が見られた。続いて、両繋留因子の同時欠損細胞を作製したところ、オートリソソーム形成が抑制されていることが分かった。これらの結果から、ATG8-PE化不全細胞におけるオートリソソーム形成不全の理由は、繋留因子EPG5, PLEKHM1のリクルート不足によるリソソーム融合不全であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATG8-PE化不全細胞におけるオートリソソーム形成不全に関与する分子として、オートファゴソームとリソソームの膜融合に必要な繋留因子を特定できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
1.繋留因子依存的にオートリソソーム形成が促進されるか? ATG8-PE化不全細胞において、特定した繋留因子を人工的にオートファゴソームに局在させるとオートリソソーム形成が促進されるかどうか、オートファジー活性測定とライブセルイメージングなどの複数の方法を使って評価する。
2.オートファゴソームへのリソソーム酵素通過孔のサイズ測定 ATG8-PE化不全細胞でオートリソソーム形成が少ない要因のもう一つの可能性として、繋留不足等によりリソソーム融合が不十分なことから、リソソーム融合部位あるはオートファゴソーム内膜上のリソソーム酵素が透過する孔のサイズが小さいためでないか、という仮説を立てた。これを検証するために、サイズの異なる蛍光デキストランをリソソームに取り込ませ、デキストランのサイズ依存的なオートファゴソームへの流入量を見積もる実験系を立ち上げ、通過孔のサイズを評価する。
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Research Products
(9 results)