2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of an ESCRT complex-dependent microautophagy/proteasome sorting mechanism
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04637
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 尚志郎 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80548280)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ESCRTI / PTPN23 / リソソーム分解 / プロテアソーム分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一般的にリソソーム分解に働くことが知られるESCRT-I複合体が、PTPN23を介してプロテアソームと結合し、ユビキチン化タンパク質のプロテアソーム分解にも寄与することを明らかにしてきた。プロテアソームは33種類のサブユニットからなるが、どのサブユニットがPTPN23との結合に機能するか解析を行ったところ、19S制御粒子のRpn1サブユニットがPTPN23との結合に機能することを明らかにした。また、PTPN23は、Bro1, CC, PTP-PESTの3つのドメインから構成されている。そこで、PTPN23がどのドメインでRpn1と結合しているのか検討を行ったところ、PTPN23はPTP-PESTドメインを介してプロテアソームと結合している可能性を明らかにした。 本研究では、ESCRT-Iがリソソーム分解のみならずプロテアソーム分解にも機能することを明らかにしたことから、ESCRT-Iがリソソーム分解とプロテアソーム分解に振り分ける分解基質タンパク質があるのではないかと考えた。そこで、TMTタグを用いた半定量プロテオミクスにより、ESCRT-IとPTPN23によってプロテアソーム分解とリソソーム分解に振り分けられる分解タンパク質の探索を行った。この解析から、小胞体に局在するいくつかのタンパク質やリボソーム生合成に関わるタンパク質複合体がESCRT-IとPTPN23によってプロテアソーム分解とリソソーム分解に振り分けられることを明らかにした。今後は、これらのタンパク質がどうしてESCRT-Iによってプロテアソーム分解とリソソーム分解に振り分けられているのか、その生理的意義を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究により、プロテアソームとPTPN23タンパク質の結合様式の一旦を明らかにできた。今後は、プロテアソームサブユニットRpn1とPTPN23のどのアミノ酸が、お互いの結合に重要なのか明らかにしたい。また、TMTタグを用いた半定量プロテオミクスにより、ESCRT-I依存的にプロテアソームとリソソームの両方で分解をうける基質タンパク質をいくつか同定することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細にプロテアソームサブユニットRpn1とPTPN23の結合様式を明らかにすることを予定している。まずクロスリンクを用いた質量分析解析によりRpn1とPTPN23のどの表面が近接しているのか明らかにする。さらに、alphafold2を用いた複合体構造の予測により、Rpn1とPTPN23の結合に利用されるそれぞれのアミノ酸を同定したい。Rpn1とPTPN23の結合に利用されるそれぞれのアミノ酸を同定できれば、リソソーム分解には寄与するがプロテアソーム分解には寄与しないPTPN23変異体を作製することができると考えている。このプロテアソームと結合できないPTPN23変異体を利用することで、この変異体PTPN23を細胞に発現させたときの細胞の応答や分解不良になるタンパク質を同定し、さらにESCRT-IとPTPN23がプロテアソーム分解に寄与する生理的意義を明らかにしたい。ESCRT-IIIと結合できないPTPN23変異体は既に知られているので、ESCRT-IIIと結合できないPTPN23変異体とプロテアソームと結合できないPTPN23変異体がそれぞれ細胞機能にどのような影響を与えるかも比較し解析を行う。 ESCRT-IとPTPN23によってプロテアソームとリソソームによる分解に振り分けられるタンパク質は、先の項目で述べたように既に同定に成功している。これらの多くは小胞体に局在するタンパク質やリボソームの生合成に関わる複合体の構成タンパク質であった。どうしてそれらのタンパク質がESCRT-IとPTPN23によって、プロテアソームとリソソームによる分解に振り分けられているのか生理的意義を明らかにしていく予定である。
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