2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロヌクレオファジーにおける液胞と核の協働機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04642
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
丑丸 敬史 静岡大学, 理学部, 教授 (50262788)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | TORC1 / オートファジー / ヌクレオファジー / ミクロオートファジー / ミクロヌクレオファジー / rDNA / 核小体 / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)増殖中の出芽酵母が栄養不足に陥りTORC1が不活性化すると、分裂期因子コンデンシンやCdc14 protein phosphataseによってrDNA領域が凝縮する。しかし、間期細胞においてもこれらの因子が機能しうるのかは不明であった。申請者は、飢餓後の間期細胞ではコンデンシンではなくHmo1が飢餓誘導性のrDNA凝縮に関与することを明らかにした。さらに、rRNAの転写を抑制するヒストン脱アセチル化酵素Rpd3、Cdc14、CLIPも間期のrDNAの凝縮と栄養不足のG1細胞での生存に必要であった。このように、本研究は、間期における染色体凝縮の新しい特徴を明らかにした。(Takeichi et al. 2020, BBRC)。 (2)出芽酵母では液胞の形態は分裂と融合によって動的に制御されている。液胞融合は栄養飢餓、TORC1不活性化で誘導され巨大な1つの液胞が形成される。この時期、オートファジーが誘導されることから、オートファジーにとってこの液胞形態が適していると予想し、液胞分裂を制御するシステムを開発しこれを検証した。その結果、液胞分裂はマクロオートファジーには影響を与えず、ミクロオートファジーを却って促進した。さらに、液胞分裂は核と液胞の接合部NVJを複数形成しミクロヌクレオファジーを促進した。しかし、液胞の形態は、TORC1不活性化によって引き起こされる核小体のリモデリングには影響を与えなかった。このように本研究は、液胞/リソソームの形態がオートファジーに与える影響を調べその性状を明らかにした (Tasnin et al. Biochem Biophys Res Commun. 2021)。 (3)ESCRTがミクロオートファジー誘導に必要なことから、ESCRTのミクロヌクレオファジーへの寄与に関して現在検証中であり、ポジティブな結果をすでに得つつある(論文投稿前であるため、詳細は記載しない)。 (4)マクロヌクレオファジーと核小体リモデリングに関与する新規因子を4つ見出し、現在、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで顕微鏡不足のため研究のスピードが律速されてきたが、そこが解決され計画に沿って順調に研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクロヌクレオファジーと核小体リモデリングに必要な遺伝子・タンパク質のリストはできつつあるが、それらがどのように関連しあってミクロヌクレオファジーと核小体リモデリングを制御するのか、研究を深く掘り下げていくことを予定している。加えて、ミクロヌクレオファジーと核小体リモデリングの因果関係も不明であるので、それを明らかにするようなアプローチを計画中である。
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