2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索再生におけるオートファジー制御因子の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04643
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80283456)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | C. elegans / 神経軸索再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、線虫の軸索再生制御におけるULKの役割について解析した。その結果、ULKがオートファジー経路とは別に、ヒスチジンホスファターゼPHPT1の線虫ホモログPHIP-1を介するシグナル伝達経路を介して軸索再生を促進していることを見出した。ULKは、PHIP-1の112番目のセリン残基をリン酸化することにより、これを活性化する。そこでPHIP-1により脱リン酸化される基質を探索したところ、Gタンパク質βサブユニットGPB-1の266番目のヒスチジンがPHIP-1により脱リン酸化されることが判明した。NDKキナーゼによりHis266がリン酸化されたGPB-1は、そのリン酸基をGタンパク質αサブユニットGOA-1に結合したGDPに付加してGTPに変換し、それにより活性化したGOA-1が軸索再生を抑制する。PHIP-1はGPB-1のHis266を脱リン酸化することで、GOA-1による再生抑制を抑制していた。以上の成果は、EMBO Report誌で論文として発表された。またこれとは別に、哺乳動物のParkin依存的マイトファジーにおけるプロテインキナーゼLRRK1の役割についても解析した。ULKはATG13と複合体を形成してLRRK1をミトコンドリア上にリクルートする。リクルートされたLRRK1はRab7のSer72をリン酸化することで、マイトファゴソーム形成を開始する。さらに、活性型LRRK1のミトコンドリアへの異所的ターゲティングは、ULK複合体の構成要素であるATG13欠損をバイパスして、Rab7のSer72のリン酸化を誘導するのに十分であった。以上の研究により、ULK複合体によるLRRK1の制御が、Parkin依存的マイトファジーの制御において重要な役割を果たしていることが明らかになった。本成果についても論文で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ULKによる軸索再生制御において、オートファジー経路に加えてヒスチジンリン酸化経路の制御という新たな知見を得て、それを論文として発表した。さらに、マイトファジーにおいてULKがLRRK1のミトコンドリアへのリクルートを介してRab7のリン酸化を誘導することによりマイトファゴソーム形成が開始されることを見出し、論文として発表した。当初の計画以上に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ、今後は線虫においてULKがどのような上流シグナルを受けてヒスチジンリン酸化経路とオートファジー経路のそれぞれを活性化しているのか、それぞれの上流シグナル経路の解明と、その使い分けを制御する機構について解明を試みる予定である。
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