2022 Fiscal Year Annual Research Report
小腸上皮におけるミクロオートファジーの分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04645
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 洋 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50212329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | vacuole / endosome / enterocyte / microautophagy / endocytosis / HOPS complex |
Outline of Annual Research Achievements |
吸収上皮は生体の「外」と「内」を区分けすると同時に、物質輸送と情報交換を担う組織である。吸収上皮では、エンドサイトーシス・エクソサイトーシスとして知られる膜ダイナミクスによって物質輸送と情報交換がおこなわれる。これまでに、吸収上皮細胞の膜ダイナミクスでは、リソソームがエンドソームを「飲み込む」、ミクロオートファジーが起きることを見出してきた。ミクロオートファジーに関わる分子メカニズムをあきらかにするにあたり、エンドソーム・リソソーム間小胞輸送を担うHOPS複合体サブユニットmVam2に注目した。条件的遺伝子破壊が可能なmVam2flox alleleをもつマウスに、腸上皮特異的にCre recombinaseを発現するVillin-Cre transgeneを交配によって導入し、腸上皮でmVam2機能を欠失させたところ、乳飲期の小腸に特異的に見られる大きな液胞様のリソソームが、巨大化することがわかった。この巨大なオルガネラにはリソソームマーカーがほとんど検出されず、また、エンドサイトーシスマーカーもほとんど到達しないことから機能的なリソソームとはいえないことがわかった。同様な表現型はRab7の機能喪失によっても引き起こされる。そこでmVam2, Rab7の両方を欠失するような、二重変異の効果を観察するために変異マウスの交配をすすめている。Tg:Villin-Cre, mVam2flox/flox Rab7flox/floxの遺伝子型をもつマウスは胎生致死とはならず、生まれてくること、さらには離乳期までは生育することが確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mVam2の機能に関する解析、二重突然変異の作出など順調に進んでいる。当初に計画している薬理学的な解析やtranscriptomeの研究などの準備も進んでいる。これらのことから当初の研究計画に則って順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大液胞の形成におけるリン脂質、液胞化におけるイオン環境、液胞化において特異的に発言してくる遺伝子、の観点から研究を進める。既に予備的な観察結果、研究結果が得られており、とりわけ、イオン環境に関しては巨大液胞をもつ吸収上皮でのイオン輸送体V-ATPaseのイソフォームの発現と局在に関しての知見を成果発表している。同様の観点からの小腸上皮におけるイオン輸送体の発現と制御に関して解析を進める。
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Research Products
(6 results)