2022 Fiscal Year Annual Research Report
Atgタンパク質とミクロリポファジーの関係
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04654
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
辻 琢磨 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40725628)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / ミクロオートファジー / リポファジー / 脂肪滴 / ニーマン・ピック病C型 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジー関連(Atg)タンパク質を中心としたマクロオートファジーの分子機構が明らかになりつつある一方で、Atgタンパク質とミクロオートファジーの関係は不明なままである。我々はマクロオートファジー不全出芽酵母細胞では静止期ミクロリポファジーに必須なステロール輸送タンパク質Ncr1(液胞膜貫通タンパク質)とNpc2(液胞内腔タンパク質)が、液胞近傍のドット様構造に異常集積してしまうこと、またその原因が培地中に蓄積した代謝産物であることを見出した。興味深いことに代謝産物濃度を低下させることで速やかに異常局在は解消され、Ncr1とNpc2は正常な分布に戻った。この結果から、代謝産物濃度さえ正常であればミクロリポファジーが起こりうること、すなわちatg遺伝子欠損は代謝異常を介してミクロリポファジー不全を引き起こしているという仮説をたてた。本研究ではこの仮説を検証するとともに、マクロとミクロの異なる2つのオートファジー経路の関係を明らかにする。 本年度はNc1/Npc2ドットの実体解明を目指した。 Ncr1/Npc2ドットの超微形態を観察するためにアルデヒド系化学固定剤でドットを固定しようと試みたところ、すぐさまドットが解消してしまうことがわかった。そこで化学固定剤を必要としない、急速凍結・凍結割断レプリカ標識電子顕微鏡法を行った。その結果、atg7欠損細胞の液胞には細胞質中にせり出したような領域があることがわかった。また、Ncr1-GFPの過剰発現細胞を利用してその分布をレプリカ法で確認したところ、この領域に分布していることがわかった。さらに、FRAPアッセイにより、ドットに集積しているNcr1とNpc2に流動性があることがわかった。これらの結果からNcr1/Npc2ドットが液胞の一部であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりNcr1とNpc2が異常集積するドット様構造の超微形態解析を行い、これが細胞質中にせり出したような液胞の一部であることを明らかにすることができた。また、ドットに集積しているNcr1とNpc2に流動性があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおりNcr1とNpc2が代謝産物濃度に依存して局在を変化させる分子メカニズムを明らかにする。
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