2022 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成におけるオートファジーの役割の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04658
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
井端 啓二 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30462659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シナプス形成 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでにシナプス形成因子であるCbln1がLC3陽性の小胞からも分泌されること見出し、Cbln1がオートファゴソームやオートリソソームからも神経活動依存的に分泌されることを示唆した。この結果から研究代表者は、Cbln1がオートファジーによる制御を受けており、シナプス形成が進む際にオートファジーがシナプス密度を調節している可能性を考えた。そこで本研究ではオートファジーを操作することによって、シナプス密度の変化や、シナプスに局在するタンパク質の増減が起こるかについて初代培養系およびマウス個体で明らかにする。本研究でシナプス形成へのオートファジーの役割を明らかにすることで、シナプス形成のメカニズムを解明する。令和4年度は、2種類のオートファジー分子のドミナントネガティブ変異体を小脳初代培養系で発現させることによってオートファジー阻害を試みた。それぞれのドミナントネガティブ変異体が顆粒細胞およびプルキンエ細胞でオートファジーを阻害することをLC3に対する免疫染色実験で確認し、有意にオートファジーを阻害することを明らかにした。それぞれのドミナントネガティブ変異体を発現した小脳初代培養系においてプルキンエ細胞の樹状突起上の興奮性シナプスをvGlut1に対する免疫染色を行い、その染色輝度を解析した。その結果、ドミナントネガティブ変異体がvGlut1の染色輝度を変化させることが明らかとなった。この結果からオートファジーがシナプス形成や維持に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小脳初代培養系でオートファジー関連分子のドミナントネガティブ変異体を発現させ、オートファジーが阻害されることを明らかにした。また、2種類のドミナントネガティブ変異体がシナプス密度を変化させることを明らかにした。これらのことからオートファジーがシナプス形成や維持に何らかの役割を果たしていることを示唆することが出来た。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ドミナントネガティブ変異体ではオートファジーがシナプス形成や維持に関与していることが明らかになったため、それら分子のノックダウンを用いることで、オートファジーの関与だけではなく、それら分子自体が必要であるかを確認する。 得られた結果をもとに、ドミナントネガティブ変異体やノックダウン発現によるシナプス密度変化の作用機序を解明する。そのため、シナプス前部の足場タンパク質(BassoonやMunc13)、およびシナプス小胞に局在する分子(Rab3やシナプトタグミン1)、さらに、シナプス後部の足場タンパク質(PSD93やHomer)、およびグルタミン酸受容体(GluA2、mGluR1)などの分布密度や量などを免疫染色法で調べ、シナプスを構成する分子の局在や量に変化があるかを検討する。また、シナプス密度変化をプルキンエ細胞からのパッチクランプ法による電気生理実験で確認する。さらにドミナントネガティブ変異体やノックダウンを小脳で発現させ、小脳の歩行や協調運動学習を解析することで明らかにする。
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