2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロクロロファジーにおける基質認識・輸送の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Multimode autophagy: Diverse pathways and selectivity |
Project/Area Number |
22H04660
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 咲耶 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (20845151)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クロロファジー / 葉緑体 / ミクロオートファジー / 光障害 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、損傷葉緑体を除去する選択的ミクロオートファジー「ミクロクロロファジー」の分子メカニズムを詳細に明らかにすることを目指している。ミクロクロロファジーの作動機構として、特に、損傷葉緑体の認識因子、葉緑体を液胞内へと輸送する際に必要となる膜動態を支える因子、の2点に焦点を当てた解析を進めており、2022年度は特に以下のような成果が得られた。 オートファジー膜上のタンパク質ATG8と、光障害時に相互作用するタンパク質候補が、ミクロクロロファジーにおける基質認識を担うかを検証するため、T-DNA挿入変異株の整備を行った。また、先に単離していたクロロファジー活性を特異的に抑制する化合物については、その直接の作用対象遺伝子の同定を進めた。具体的には、安定して抑制効果が見られた化合物をビーズに固定し、その結合ターゲットを、光障害に晒した植物の破砕液から単離し、質量分析に供した。得られた候補遺伝子が想定より多かったため、データベース等の情報からオートファジーに関わる可能性が期待される遺伝子を中心にT-DNA挿入変異株の整備を進めた。 ミクロクロロファジーだけが抑制される変異株の原因遺伝子については、膜交通に関わる因子に特に着目し、その機能解析を行った。さらに、膜交通関連オルガネラに局在する他の因子についても、蛍光タンパク質を用いたライブセルイメージングによりクロロファジーへの関与を調査した。その結果、一部の因子が損傷葉緑体上に蓄積することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のアプローチを通じて、ミクロクロロファジーの基質認識や基質輸送に関わる可能性がある因子が同定されてきており、その具体的な機能検証に解析が進みつつある。よって、本研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画はおおむね順調に進展しており、大きな計画変更は行わずに進めていく。クロロファジー抑制化合物のターゲット同定とクロロファジー機能欠損株の原因遺伝子の解析は、どちらも機能未知の遺伝子機能を評価することになるため、得られた結果を随時、慎重に考察しながら、必要な解析を十分に検討して進める。
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