2022 Fiscal Year Annual Research Report
Importance of genomic ploidy, cell size, and the balance between the two in mouse preimplantation development
Publicly Offered Research
Project Area | Program of totipotency: From decoding to designing |
Project/Area Number |
22H04664
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大杉 美穂 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00332586)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マウス着床前胚 / ゲノム倍数性 / 細胞の大きさ |
Outline of Annual Research Achievements |
倍数性(ゲノムセット数)の変化が胚発生に与える影響は生物種によって異なる。特に哺乳類の一倍体胚は胚盤胞到達前に多くが発生停止する がその理由はほとんどわかっていない。細胞にとって倍数性(DNA量)と細胞サイズ(細胞質量)のバランスは重要であり、体細胞では細胞周期の間期に細胞が成長してバランスを取る。しかし卵割期は細胞の成長が起こらないため、倍数性が変化した胚は、細胞サイズとのバランスの崩れが修正されないまま発生を進めることになる。本研究は細胞サイズ(半分・通常・倍)、倍数性(一倍体・二倍体・四倍体)を多様な組み合わせで変化させたマウス胚を作出して胚盤胞までの発生を追い、「ゲノム倍数性」「細胞の大きさ」「両者のバランス」の変化がそれぞれどのような発生異常を引き起こすか、その原因は何かを明らかにすることで、全能性の獲得・発揮には何が重要なのかを解くための知見を得ることを目的とする。 1)EGFP―HH2Bノックインマウスのオス由来の精子を用いて、等割分裂を引き起こす体外受精を行い細胞サイズ半分の二倍体割球をもつ受精胚を作出した。理論上2細胞期以降に半数の割球がEGFP陽性となるはずであるが、約1/4のみがEGFP陽性となる胚など、EGFP陽性割球が半数とならない胚が出現した。また、そのような胚の胚盤胞発生率は低かった。 2)倍サイズの二倍体胚においても通常サイズ一倍体胚と同様の分裂期異常が生じることを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りにゲノム倍数性、細胞サイズを変化させた胚の観察を実施し、半サイズ二倍体胚については予想外の興味深い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一分裂時に染色体の不分離などの染色体分配異常が高頻度に起きる可能性、またはEGFP―HH2Bの挿入された領域のエピジェネティック制御に異常が生じている可能性が考えられる。まずは前者の可能性から検討する。 通常サイズ一倍体胚が示すゲノム倍加のメカニズム、倍加時期の特定を進め、倍サイズ二倍体胚との比較を行う。
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