2022 Fiscal Year Annual Research Report
卵賦活化が引き起こす母性mRNA翻訳調節による全能性獲得機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Program of totipotency: From decoding to designing |
Project/Area Number |
22H04672
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 昌稔 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (30565099)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵賦活化 / 母性mRNA / 翻訳調節 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
受精などの刺激により、卵は活性化 (賦活化) され、全能性を獲得し発生を開始する。全能性獲得のためには、卵内の遺伝子発現が、それまでの卵母細胞として分化した状態から、未分化の発現パターンに大きく変化しなければならない。この卵賦活化の時期に、多くの生物では転写が不活性であるため、遺伝子発現パターンの変化は、母性mRNAの翻訳調節に大きく依存する。本研究では、ショウジョウバエを用いて、卵賦活化シグナルと母性mRNA翻訳調節をつなぐ制御機構を明らかにする。それにより、全能性獲得プログラムの理解を目指す。 ショウジョウバエの卵賦活化における母性mRNA翻訳調節では、PNGキナーゼが必須な役割をはたす。しかし、PNGキナーゼがどのように翻訳調節をもたらすかは、ほとんど不明である。このことを明らかにするために、本研究では、PNGの下流の翻訳調節機構の解明や、それの機構により翻訳制御される遺伝子の同定を行なっている。これまでに、PNGキナーゼにより直接リン酸化される翻訳制御因子が、卵賦活化時の翻訳調節に関与することを示唆する結果を得た。またその因子と結合するいくつかのmRNAがPNG活性依存的にpoly(A)鎖伸長制御されることを見出した。本結果は、次年度の解析に繋がる重要な知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵母細胞においてPNGの下流で制御される翻訳制御因子と結合するmRNAの同定を行った。網羅的に同定するための実験系の最適化に時間がかかった。その一方で、既知の情報による候補遺伝子アプローチより、目的のmRNA候補を複数得ることができた。そのため、プロジェクトはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
目的のmRNAターゲットの網羅的同定を行うとともに、すでに得られている候補ターゲットを用いて、PNGによる翻訳調節機構の解明および、をのターゲットmRNAの翻訳制御の意義を明らかにする。
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