2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of paternal histone modification integrated in undifferentiated spermatogonial during early embryogenesis
Publicly Offered Research
Project Area | Program of totipotency: From decoding to designing |
Project/Area Number |
22H04677
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大保 和之 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70250751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精子 / 精子幹細胞 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
5から10組のカップルにひと組とも言われている不妊の頻度が国内で報告されている。そのうちの半分が男性不妊であると言われている。これまで、精子のヒストンは全てプロタミンに置き換わると言われてきたが、最近、哺乳類において、1~10%のヒストンが精子に残存していることが報告された。このことから、ヒストンに書き込まれた修飾情報が、次世代へ伝播する可能性が出てきた。この残存ヒストンには、活性型、抑制型両方のヒストン模様が描かれているとの報告があるが、精子のヒストンの生物学的意義は不明で、不妊を始め、様々な疾病発症に繋がる可能性もある。本研究では、精子の残存ヒストンの中でも、KMT2B、KMT2Gの二つのH3K4me3修飾酵素に焦点を当てて研究を行っている。先行しているKMT2Bについては、精子幹細胞の時期にKmt2b遺伝子を欠損させ、そこから発生してきた精子を用いて作出した次世代初期発生への影響を観察することを行っている。異常が出現する時期は、着床前、着床後の胚であることが通常予想される。仮に表現型が無かったとしても、遺伝子発現に異常を起こしていることも推測される。表現型に現れない水面下に発生している遺伝子発現異常も含め、精子がなぜヒストンを一部だけ維持するのか、また、それらが精子幹細胞の時期に挿入されている可能性が高いことから、精子幹細胞におけるエピゲノムの次世代初期発生における意義の有無を明らかにする研究である。さらには、現在不妊治療技術が急速に進歩している中にあって、その分子基盤を明らかにする研究でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成体で、精子幹細胞や前駆細胞の時期にKmt2b遺伝子を欠損させ、それらの細胞が精子にまで分化したと考えられる時期に精子を採取する計画を立てたが、わずか数日違いで無精子状態になったり、残存精子の運動も障害を受けていたため受精能も低く、条件の検討に時間を要した。最終的に条件を決定し、JF1マウスを用いて本実験を開始した。2 細胞期で初期胚を回収し、遺伝子型判定を行いつつ、RNA-sequencingとCATCH-seq法にて、遺伝子発現と、H3K4me3修飾の父性染色体における低下の確認を行う実験を施行した。2 細胞期という大変少ない細胞からの実験となるが、遺伝子型判定、RNA-sequencingは、うまくいくケースが多々ありデータが蓄積された。一方、CATCH-seq法によるH3K4me3修飾の検討は、技術的なハードルが高く、本年度中に1回しか綺麗なデータ取得に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで我々は、遺伝子発現についてはシングルセル解析などを多数行っており、ある程度の技術レベルと経験があった。しかし、ヒストン修飾を調べる目的で、2 細胞期初期胚を50個前後プールし、ULI-ChIPの変法であるCATCH-seqを用いて繰り返しトライしたが、良好なデータを必要サンプルサイズ数得ることができなかった。その原因として、細胞数の少なさによることが強く考えられた。初期発生におけるmonoallelicな遺伝子発現は、8細胞期まで続くことや、その影響は胚盤胞の時期まで継続する可能性があるのではないかと考え、8細胞期や胚盤胞へと解析時期を後ろにずらすことにより解決できるのではないかと考えている。
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