2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of long-term culture method for 2-cell stage-like cells and identification of subpopulations
Publicly Offered Research
Project Area | Program of totipotency: From decoding to designing |
Project/Area Number |
22H04680
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 肇伸 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80403202)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ES細胞 / 全能性細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ES細胞およびiPS細胞は、すべての体細胞および生殖細胞へと分化する能力を有しているが胎盤の細胞に分化することはできない。その「多能性」に対して、発生初期における着床前胚の細胞は、胎盤の細胞を含む全ての細胞へと分化できる「全能性」を有している。しかし、ES細胞には低率であるが、MuERV-L (murine endogenous retrovirus with leucine tRNA primer) 陽性細胞が含まれており、この細胞集団が全能性を有することが示唆されている。本研究では、研究代表者らが全能性の観点から解析してきた着床前胚において特異的に発現する遺伝子を手がかりに、ES細胞に含まれる“真の全能性細胞”を同定・可視化する方法を確立することを目的とした。研究代表者らは、MuERV-L陽性のES細胞が全能性細胞を含むヘテロな細胞集団であることを明らかにしている。また、全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子群の中で、Klf17、Btg4、Rfpl4、およびZfp92が、MuERV-L陽性細胞でのみ発現していることも明らかにしている。そこで、本研究ではこれらの結果に基づき、MuERV-Lに加えてこれらの全能性細胞特異的遺伝子を全能性細胞のマーカーとして利用し、1個の細胞から将来胚体と胚体外を形成する2種類の細胞を生み出す能力を持つ“真の全能性細胞”の同定を行うことを目的とした。また、全能性を保持したまま増殖させることが可能な“全能性幹細胞”の樹立を行い、全能性の分子基盤を解明することをもう一つの目的とした。本研究により得られる成果は、生物学的に意義があるだけではなく、生殖補助医療、再生医療、畜産分野への応用など、一般社会においても重要な意義を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、MuERV-L陽性細胞の中に初期の着床前胚で特異的に発現するKlf17を発現する細胞集団が存在することを明らかにしている。本研究課題で目標としていたMuERV-L陽性細胞の中に亜集団が存在することを明らかにできたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、MuERV-L陽性細胞、Klf17陽性細胞、およびMuERV-L/Klf17共陽性細胞の分化能を桑実胚への移植実験により明らかにする予定である。また、分化能に差が出た場合には、それぞれの細胞集団のRNA-seqを行い、遺伝子発現の特徴を明らかにする予定である。
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