2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical biology of meristem dynamics constituting and modulating organ positioning periodicity
Publicly Offered Research
Project Area | Intrinsic periodicity of cellular systems and its modulation as the driving force behind plant development |
Project/Area Number |
22H04719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 仰一 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60334306)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数理モデル / 細胞分裂面 / 形態形成 / 植物 / メカノバイオロジー / 幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞組織の3次元の力学変形を記述できる数理モデル(3D vertex model)の開発を進めた。細胞が増殖かつ異方成長する多層の植物組織に対して、一細胞精度の計算を予備的ではあるが世界で初めて実現できた。まず、頂端幹細胞の分裂面の周期は予めモデルに導入し、幹細胞の形が分裂を繰り返しても維持できるかを検証した。コケ植物蘚類に多くみられる3面切り出しの4面体の幹細胞形状が、約20回の幹細胞分裂を通じてほぼ維持できることを確認した。 ヒメツリガネゴケ葉の細胞の分裂面制御ルールを実験と3D細胞幾何学モデル(phase-field model)の融合から同定した。GRASファミリー転写因子が分裂面の最小面積則を変調して、異なる分裂面を実現することを明らかにした (石川班らと国際共同研究 PNAS 2023)。 並行して、領域内共同研究を多数進めた。この細胞幾何学モデルをシロイヌナズナ胚の野生型および変異体へ応用した。親細胞の形に加えて、核の位置や娘細胞の体積比や細胞分裂に先立つ時刻も合わせた4D情報が分裂面決定に果たす役割の推定を進めた(植田班と共同研究)。シロイヌナズナ根維管束の対称性がバイアスある細胞増殖を通じて高められる力学的仕組を明らかにした (中島班・宮島博士らと国際共同研究 Curr. Biol. 2023)。シロイヌナズナ葉の鋸歯になる部位に局在するauxinの空間周期を変調する新たなモデルを構築した。auxinとEPFL2との相互抑制がauxin極性輸送と協働することで周期の変調や頑健性に果たす役割について、集中して数理解析した(池内班と共同研究)。イネ側根と主根の先端形状の定量解析を進めた(犬飼班と共同研究)。 「周期の変調」に関して、個体(ヒト、蚊、コガネムシ他)の活動周期が24時間から48時間へ変調する遺伝子ネットワーク特性を数理モデルから予測した (投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が責任著者となり、本研究課題に関わる領域内共同研究成果として、2報を出版できた。どちらの論文もプレスリリースを行い、各種メィデアの反響も大きい。出版後2か月以内にもかかわらず、どちらの論文も既に引用されている。他に、3つの領域内共同研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
多細胞力学モデル(vertex model)等を通じて、以下の問いの解決を試みる。器官の形を再帰的に生み出す仕組みは?幹細胞を形づくる分裂面が回転して周期を構成する仕組みは?幹細胞や器官(メロファイト)の3D形状に加え、細胞分裂パタンも、モデルと植物体とで定量比較を進める。幾何学モデルは、ライブイメージング等と連携して細胞の形の情報から、おこりうる分裂面を網羅かつ高速に計算することで、背後にある分裂面決定ルールを予測する方法論の確立を進める。領域内共同研究を通じて、これら力学・幾何学のルールと遺伝子発現等との繋がりを推定する機械学習モデルの開発を継続する。
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Research Products
(4 results)