2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of neural circuits for moderate adaptation to the external environment
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
22H04765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 梨絵 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (60513455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレス / 自閉スペクトラム症 / 視覚 / 神経生理 / マルチユニット記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外部環境の変化、特に提示する視覚刺激を多様に変化させた時に、脳はどのように適応するのか、そして、この適応メカニズムは、適応レベルの異なる、自閉症の発達特性やストレス負荷によって、どのように修飾されるのかを明らかにする。単一細胞、単一脳領野内の細胞ペア、多細胞間、そして、多脳領野間の多次元にわたる神経活動がどのように変化することで、知覚レベルでの外部環境への適度な適応を実現しているのかを理解することを目指す。 令和4年度は、タッチパネルオペラント実験装置を新たに導入して、これを用いることで、自由行動下のラットに様々な視覚刺激を提示して、その視覚刺激に対する視知覚の適応を観察した。まず、縦縞と横縞を区別する視覚弁別課題を学習させた。その後、2つの縞の傾きの差分90度を保ったままで、ランダムに回転させた。30度の回転くらいまでは、縦縞に近ければ縦縞の行動を選択することができた。一方、2つの縞の傾きの差分90度を保ったままで、徐々に連続的に回転させていくと、多くのセッションにおいて、1セッションという短い期間で90度の回転、つまり反転させてもなお正解することができた。ランダムに回転させた場合には、当然、回転前の行動を選択し、課題を正解することはできない。しかし、連続的に回転させた場合には、回転後の行動を選択し、課題を正解することができるようになった。このような視知覚の適応は、自閉症の発達特性によって、どのように影響されるのかを今後明らかにする。さらに、課題の難易度というストレス負荷に依存して、視知覚の適応が変化するかどうかを検討している。また、多脳領野から広域カルシウムイメージングを行うなどの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を開始したばかりなので、研究成果はあまり出てきていないが、新たに、自由行動下のラットにタッチパネルオペラント実験装置を用いて視覚弁別課題を行わせる実験系を取り入れた。簡便に視知覚の適応を観察するためには、タッチパネルを用いた実験は有効である。
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Strategy for Future Research Activity |
タッチパネルオペラント実験装置を用いて、視知覚の適応について、ストレス負荷による影響や、自閉症傾向との関連を調べていく。さらに、頭部固定状態で視覚弁別課題を行い、この時の神経活動を、大規模マルチユニット記録と広域カルシウムイメージングによって計測する。これによって、適度な適応の神経基盤の解明を目指す。
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