2022 Fiscal Year Annual Research Report
発達初期の身体・神経系変容に対する感覚運動情報構造の超適応
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
22H04770
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金沢 星慶 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (60744993)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報構造 / 感覚運動 / 発達 / 強化学習 / 乳児 / 新生児 / 筋骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳・身体の損傷や加齢による運動機能障害や高次脳機能の低下において、神経活動や構造に通常とは異なる変化が生じると同時に、その変化を運動・行動制御に活用している可能性があり、その機序解明が求められている。特に、発達初期における身体障害や神経損傷に対する適応過程では、成人では考えられない機能回復や機能代償が生じることがしばしば報告されている。本研究では、新生児期~乳児期に生じた機能障害に対する感覚運動応答や変化に着目することで、発達初期に特異的な機能回復や機能代償過程、すなわち、『発達初期の身体・神経系の変容に対する超適応』に関する理論構築を進める。
本年度は、生後3カ月までの随意運動を行う前の新生児および乳児の運動データを収集・解析し、時間的な構造化について、orthogonal non-negative matrix factorizationおよびspectral clusteringを用いた状態抽出を行った。その結果、タスクフリーな発達初期の自発運動を通して、空間方向だけでなく、時間方向にも感覚運動インタラクションのパターンを学習していることを示した。 また、乳児筋骨格モデルを用いたシミュレーションを通して、タスクフリー自発運動時におけるランダムな筋活動間の共起性を学習することで筋シナジーを獲得しうること、および獲得された筋シナジーが具体的な学習に利用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り実データに対する感覚運動情報構造の抽出やそれらに関するモデル研究のプラットフォームの準備・実用を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には本年度に得た結果を再現するモデルの提案、および、身体や神経系に異常が生じた際にこれらの学習がどのように破綻するか?およびその破綻を改善しうるかを検証する。
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