2022 Fiscal Year Annual Research Report
菌種特異的に進化した金属特異的レセプターに対する新規創薬基盤の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
22H04809
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 一路 京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | A群レンサ球菌 / 金属トランスポーター / ヘム獲得系 / CDF排出トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
A群レンサ球菌のShrに対する機能阻害剤については、Shrの結合に着目したスクリーニングで既に候補化合物を得ている。この化合物候補についてはA群レンサ球菌のみに強く増殖阻害効果を引き起こし他菌種には増殖阻害効果が得られているものの、化合物とShr, Hbの共結晶構造解析が解けないことからこの結合様式は不明であった。そこで、精製されたShrのHb結合領域とShrのHb結合領域(Shr-N1)とHbとの共結晶構造解析の結果および物理化学的性質と結合予測の結果からShrのHb結合領域の近傍領域であるY197, S198, D199, N200領域にこの低分子阻害剤が結合することで増殖阻害を引き起こしている可能性が示唆された。現在、これらの点変異導入体を作成が終了したため、その詳細なメカニズムについての解析を行っている。A群レンサ球菌は、2つの相同なCDF排出トランスポーター、MntEとCzcDを発現している。これまでの研究で、MntEはマンガンを、CzcDは亜鉛を選択的に輸送することが示唆されていたが、MntE欠損GAS株を用いた増殖試験において、MntEがGASの亜鉛に対する感受性に影響を与える可能性があることが判明した。しかし、MntEは亜鉛の輸送には関与していなかったMntE欠損株ではマンガンによってSpeBの成熟とタンパク質分解活性が阻害された。SpeB欠損株の宿主に対する病原性は著しく低下したことから、MntEとCzcDを介したGASの細胞内マンガンおよび亜鉛レベルの維持は、金属に対する抵抗性を付与するだけでなく、その病原性に必須の役割を果たす可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄獲得系Shrに対する阻害剤については、結晶構造が取れないという問題点はあるものの、構造予測と多数の点変異導入体の作成によってその機能部位を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄獲得系のShrに対する低分子阻害剤のスクリーニングにより増殖阻害を起こす菌種特異的な阻害剤の作成が可能であることが示された。今後さらに、CDF排出系に対する阻害剤を作成したいと考えている。
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