2022 Fiscal Year Annual Research Report
鉄誘導性フェロトーシスを制御する新たな生命金属動態の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
22H04810
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 宏明 京都大学, 医学研究科, 助教 (90738006)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フェロトーシス / 鉄 / セレン |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄依存性の細胞死であるフェロトーシスは、がんや虚血性疾患との関連から精力的に解析されている。フェロトーシスは鉄によって細胞膜を構成するリン脂質が過酸化されることにより惹起されると考えられいる。中でもその制御因子としてセレノプロテインGPX4の解析が進んでおり、GPX4は過酸化脂質を無毒なアルコールに変換することでフェロトーシスを抑制する。これまでのフェロトーシス研究は鉄ではなくGPX4などのフェロトーシス抑制分子の阻害剤によって行われてきた。我々は新たなフェロトーシス誘導系として鉄添加のみでフェロトーシス を誘導できる系を構築し、さらに全ゲノムを対象としたCRISPRスクリーニングにより、新規制御因子を同定してきた。過去のフェロトーシス制御因子の探索はセレノプロテインGPX4の阻害条件で行われており、セレノプロテインGPX4の制御系を取得することは困難であった。我々のスクリーニングではセレノプロテイン合成系が抑制因子として最上位にヒットしていた。さらに2次スクリーニングを行い、新たなセレノプロテイン合成制御因子Aを同定した。セレノプロテインは活性中心に21番目のアミノ酸としてしられるセレノシステインを含有するタンパク質群であり、反応性の高いセレノシステイン残基で細胞内のRedox環境の維持に働いている。今回同定した因子Aの欠損細胞ではGPX4を含むセレンタンパク質の発現が著減し、さらにフェロトーシスに感受性となることを見出した。さらに因子Aによるセレノプロテイン合成制御メカニズムを探索したところ、因子Aは細胞内セレンの利用効率上昇に寄与し、セレノシステイン-tRNAの生合成に寄与することを見出した。またデータベース解析より因子Aは様々ながんで発現が亢進しており、発現の高い患者さんでは予後が悪いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
因子Aの解析は概ね終了し、論文の執筆、投稿を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
論文のリバイスに向けて準備をするとともに、スクリーニングでは新たなヘム制御因子と考えられるものなど面白い因子が多数ヒットしているのでそれら解析を進める。
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