2022 Fiscal Year Annual Research Report
ヒザラガイの磁鉄鉱歯特異的な鉄酸化酵素の機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
22H04812
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
根本 理子 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (30625926)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒザラガイ / ヘファエスチン / 鉄酸化酵素 / 磁鉄鉱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は下記の2項目について研究を進めた。 1.遺伝子ノックダウンによる機能解析 本項目ではヒザラガイ(Acanthopleura japonica)を用いて、RNA干渉法により、磁鉄鉱歯特異的ヘファエスチン様タンパク質の遺伝子ノックダウンを行い、歯への酸化鉄沈着に与える影響を評価する。まず、ヒザラガイの遺伝子ノックダウンシステムの確立を目指して実験を行った。実験には、岡山大学の牛窓臨海実験所のご協力の下、採取したヒザラガイ個体を用いた。使用する個体重量、飼育条件、dsRNA注入量およびノックダウン後、表現型解析を行なうまでの時間を検討し、各条件について最適化した。その結果、dsRNAを注入した個体において、陰性対照と比較してヘファエスチン様タンパク質遺伝子発現量が低下することが確認された。 2.組換えタンパク質を用いた機能解析 本項目では,出芽酵母を用いて組換え発現・精製した磁鉄鉱歯特異的ヘファエスチン様タンパク質を使って,鉄酸化活性およびキチン結合活性を評価する。ヘファエスチン様タンパク質遺伝子全長から,シグナル配列および膜貫通領域を除いた配列をGST融合発現用ベクターpEG(KT)に組み込み, GSTをN末端側に融合発現させるための発現プラスミドを構築した。GSTとヘファエスチン様タンパク質の間にPrescission protease認識サイトを組み込み、グルタチオセファロースを用いてアフィニティー精製した後、Prescission proteaseを用いてGSTを切断する予定である。形質転換体を定常期まで培養した後、ガラクトースにより発現を誘導した結果,不溶性画分に目的タンパク質の発現を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子ノックダウンを行った結果、dsRNAを注入した個体において、陰性対照と比較してヘファエスチン様タンパク質遺伝子発現量が低下することが確認された。一方で,個体ごとに発現量にばらつきが見られることが課題としてあげられる。また、出芽酵母を用いて組換え発現・精製した磁鉄鉱歯特異的ヘファエスチン様タンパク質は、多くが不溶性画分に検出された。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子ノックダウン実験については、ノックダウンを行った個体ごとに見られた発現量のばらつきの原因を明らかにするため、今後、個体の採集場所や採集時期,実験室における飼育期間について検討を行う。 酵母を用いた組換えタンパク質の発現・精製については、まず発現量を増加させるため,現在研究協力者の守屋と共に,近年開発された酵母用の高発現プロモーターであるWTC846制御下での発現を試みている。また,先行研究を参考に,N末端側に酵母の鉄酸化酵素であるFet3のシグナル配列を組み込み,培地中に分泌発現させる系も構築する予定である。
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Research Products
(11 results)