2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物ユビキチンリガーゼの鉄・亜鉛スイッチングによる鉄感知の実体解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
22H04817
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 高範 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70590206)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 鉄欠乏 / ユビキチンリガーゼ / センサー / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
イネのHRZ(OsHRZ1、OsHRZ2)と相互作用する OsbZIP83転写因子と2種類のグルタレドキシン(OsGRX6、OsGRX9)およびOsHRZ1、OsHRZ2自身を標的として、さまざまな鉄・亜鉛環境下でのin vitroユビキチン化実験および26Sプロテアソーム系による in vitro 分解実験を行った。OsHRZ1、OsHRZ2の自己ユビキチン化活性は、金属環境により変化することが示唆された。 ゲノム編集によるOsHRZ1、OsHRZ2変異イネの根抽出液を用いた分解実験の結果、OsbZIP83、OsGRX6およびOsHRZ1、OsHRZ2自身がOsHRZ1依存的に26Sプロテアソーム系で分解されることが示唆された。さらに、OsHRZ1の分解は自身への金属の結合と、イネ根の鉄栄養の両者に影響されることが示唆された。 HRZと相互作用して鉄欠乏応答を制御する可能性が推定されるbHLH型転写因子遺伝子OsbHLH064 のゲノム編集による変異イネおよび過剰発現イネを作製した。これらはともに鉄欠乏感受性を示した。また、過剰発現イネは鉄欠乏条件下でのみ新葉に褐変を生じた。 HRZタンパク質のイネ体内における局在と安定性を解析するため、HRZプロモーターの制御下でHRZと beta-glucuronidase (GUS) との融合タンパク質を発現させる形質転換イネを作製した。 HRZの立体構造と、その金属結合状態による変化を解析することを目的として、共同研究によりHRZの全長および部分長について大腸菌発現系および精製、結晶化の検討を行った。また、共同研究によりネイティブ質量分析を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroユビキチン化実験および分解実験については、タンパク質への金属の結合と、鉄栄養条件の両者に依存的な分解制御を見いだすことができた。 HRZ下流因子の発現を変化させた形質転換イネにおいて、鉄の恒常性との関連性が見いだされた。 HRZプロモーター-GUS-HRZを導入した形質転換イネについては、順調に作製と系統選抜が進んでいる。 構造解析については、条件検討を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
in vitroユビキチン化実験および分解実験については、HRZ のドメイン欠失・変異タンパク質を用い、他のユビキチンリガーゼを対照区に使用してさらなる検討を行う。 個体レベルでの解析については、HRZおよび下流因子に関する形質転換イネ、ゲノム編集イネの作製と解析を続行する。 構造解析については、条件検討を続行し、条件が整い次第、X線構造解析、ネイティブ質量分析を行う。
|