2023 Fiscal Year Annual Research Report
実験室進化で生じた大腸菌変異株の鉄輸送体に着目した進化プロセスの検証
Publicly Offered Research
Project Area | Integrated Biometal Science: Research to Explore Dynamics of Metals in Cellular System |
Project/Area Number |
22H04821
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川上 了史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60566800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 実験室進化 / ルテニウム / 呼吸 / 金属イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
ルテニウム(Ru)存在下で培養した大腸菌群から単離されたカタラーゼ機能低下株LossKat(以下LK)の解析を進めた。Ruの濃度を定量することは、技術的に困難であることから、Feの濃度を中心に分析を行ってきた。その結果、RuはFeの恒常性に影響を与える可能性が示唆されてきた。しかし、Ruが直接細胞内のFe濃度に及ぼす影響については十分に評価できていなかった。そこで、Ru存在下で培養した進化前の0day株、比較として最小培地で進化させた大腸菌群から適当に単離したCtrl-1株、LK株の三種類の株を対象に、Fe含有量を評価し比較した。結果として、0dayよりも進化後のLKやCtrl-1でFe含有量が低下していることがわかった。この鉄濃度低下は輸送体の変化によるものではないかと考えて、ゲノムデータを解析したところ、Ctrl-1やLKで共通してfepAと呼ばれるFe-エンテロバクチン(Fe-Ent)輸送体の同一箇所に変異があることがわかった。変異部位はFe-Ent複合体と相互作用する細胞外ループに存在するため、この変異が鉄輸送の効率を低下させている可能性が示唆された。 細胞内でFeが少ないことは、呼吸に対する影響が生じると考え、次に、増殖時の酸素消費量を測定した。その結果、Ruの添加は株の種類によらず酸素消費を一部抑制する結果になった。しかし、その条件でもLKは0dayよりも酸素消費量が多くなることがわかった。加えて、0dayとの相対適応度を解析したところ、LKのほうが1.23倍増殖が早いことが示された。したがって、Feが不足している環境でも効率的なエネルギー産生を可能にする進化的な適応が生じていることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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