2023 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論で顕在化するミオシン分子集団の協同的な機能
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
22H04836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅 元司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00422098)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報量 / 分子間協同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ピンセットを用いて、ミオシン多分子フィラメントの発生する力を計測し、その力を入力負荷、それに応じて変化するアクチン滑り速度を出力として、相互情報量を計算し、入力に対してどれだけ出力として、情報量が取り出されたかを定量的に評価した。また、ミオシン分子と、アクチンと相互作用する頭部をなくしたミオシンロッドの混合率を変化せることで、相互作用できるミオシン分子数を5-30分子まで変えて計測を行なった。入力情報量に対する相互情報量の比率を示す情報効率の変化を評価したところ、ATP濃度の上昇に伴い、優位に増加した。この結果を理解するために、我々が以前に開発したシミュレーションモデルを用いて、同様に解析を行い、実験データと同様、ATP濃度の上昇に伴い情報効率が優位に増加する結果を得た。この分子機構として、ATP濃度の増加に伴い、より多くの分子が高負荷状態では力発生前の状態に留まり、これらの分子が同時に力発生する協同現象が確率的に起こりやすくなり、高負荷でもATP濃度が高い時は、より協同的なミオシン分子の活動により、アクチン速度が高く保たれるからであると考えられる。したがって、情報効率を見ることで、ミオシン分子間の協同性の状態を定量的に評価できると考えられる。また1 mM ATPにおいて、相互作用分子数が5-30分子に変化させた場合の情報効率を見ると、ほぼ横這いであった。これは予想外の結果であったが、シミュレーションでも同様な結果をえた。その主な理由は、分子数が多い場合、より多くの分子がアクチンに結合して動きにくくなり、協同現象のキーである分子内歪み量の解放が小さくなり、その結果協同的に動く分子が減ってしまうためであると考えられる。以上、シミュレーションと実験の併用により、情報効率を見ることで分子間の協同状態を定量的に評価できる可能性が示せたことは、本研究の大きな収穫であった。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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