2022 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアべん毛モーターの自律的なフィードバック制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Information physics of living matters |
Project/Area Number |
22H04844
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細菌 / 蛋白質 / 遺伝学 / 1分子計測(SMD) |
Outline of Annual Research Achievements |
サルモネラの運動器官であるべん毛はプロトンの流れを回転力に変換する回転分子モーターである。べん毛モーターはFliF, FliG, FliM, FliNからなる回転子リング複合体とその周りに配置される約10個のMotAB固定子複合体から構成される。べん毛モーターは外環境の粘度変化に応じて回転子の周りに配置するMotAB固定子の数や固定子のイオンチャネル活性を自律的に制御するが、その制御機構は未だ解明されていない. 本研究では、べん毛モーターの自律的なフィードバック制御機構を原子レベルで解明すること目的とする。本年度の主な成果は以下に示す。 1.負荷依存性が変化したmotBおよびfliG変異体を多数単離した。 2.回転スイッチ機能が異常になったCリング変異株を複数単離するとともに、それらから機能復帰変異体も単離した。機能復帰変異はCリング構成蛋白質であるFliG, FliM, FliN分子内に存在した。これらの変異をX線結晶構造にマプしたところ、多くの変異がFliG, FliM, FliN分子を貫く疎水的相互作用ネットワークに存在していた。 3.回転子であるMSリングは34個のFliFサブユニットが2つの異なる構造で集合してMSリングを形成する。興味深いことに、MSリングの内部には23回と11回の回転対称構造も存在する。最近得られたMSリングの高分解能のクライオ電子顕微鏡像の電子密度マップを用い、Sリング部分を2.4Å分解能で、Mリングの内部に見られる11回の回転対称構造を3.1Å分解能で原子モデルの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クライオ電子顕微鏡により回転子リング複合体を構成するMリング部分の構造が2.4Å分解能で明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に単離した負荷感受性が変化したべん毛モーターの出力特性を定量的に解析する。さらに、今年度得られた結果を基に、回転スイッチモデルを構築する。
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