2022 Fiscal Year Annual Research Report
Neuroimaging of dialogue mode and its continuation motivation
Publicly Offered Research
Project Area | Studies on intelligent systems for dialogue toward the human-machine symbiotic society |
Project/Area Number |
22H04855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60396546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳・神経 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
日常のコミュニケーションでわれわれの対話継続の背景にある異なる多様な動機、すなわち「対話モード」の理解は、人間の言語コミュニケーションの心理学・認知科学的理解や、人間と対話する知能システムやロボットの開発に必須である。本研究では、我々の日常会話の経験から主要な対話モードを抽出・定義し、各モードにおける対話動機と適応的発話の脳内機構を解明、その知見の対話知能システム評価への応用を目指している。 今年度は、主要対話モードの抽出・動機主観評価手法確立〔課題1〕するために、日常生活の多様な対話の文脈・内容と対話動機について、まず(1)社会学的調査を行い、対話モードのカテゴリー仮説を立案した。そのための自由記述調査(「誰かと対話が弾んだ経験」について、対話の文脈と具体的な対話内容、対話が弾んだ背景にあるその時の心情)を設計し、300名程度を対象としたweb調査を行った。得られたデータを(2)KJ法などの内容分析に基づく議論より整理し、様々な日常の対話動機について自分にとっての重要さを自己評価する定量的社会調査を設計、1,200名を対象としたweb調査を行った。そのデータを、因子分析を中心とした心理計測学的手法で分析した結果、4つの対話モードが抽出され、その評価質問紙尺度が開発できた。 さらに対話動機と適応的発話の脳内機構解明する機能的MRI実験〔課題2〕のための課題として、抽出した各モードの対話を仮想的に実現する実験課題を作成した(1)。各対話モードについて一往復半の対話(被験者の指定発話、パートナーの返答、被験者の自由返答)と返答時の対話動機主観評価(対話動機主観 評価質問紙から抜粋)で各試行を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、主要対話モードの抽出・動機主観評価手法確立〔課題1〕に加え、対話動機と適応的発話の脳内機構解明する機能的MRI実験〔課題2〕まで完了したかったが、(1)抽出した各モードの対話を仮想的に実現する実験課題の作成までしか完了せず、(2)機能的MRI実験の実施まで至らなかった。〔課題1〕(2)の定量的社会調査データの因子分析の結果、因子構造が想定以上に複雑で、4つの対話モードに絞り込むまで時間を要してしまったこと、また当初の想定の対話モード数(2~3)より多くの対話モードを対象とすることにしたため、課題の作成に時間がかかってしまったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
〔課題2〕対話動機と適応的発話の脳内機構解明:今年度作成した対話モードの対話を仮想的に実現する実験課題について、(2) 機能的MRI実験を健常成人50名を対象に実施し、パートナーの発話に対して被験者が対話継続動機を持った時、また被験者が適応的(相手の対話動機を高めるよう)な発話をした時、に現れる脳活動パターン(特定の脳領域の活動・領域間の 機能的結合性)を明らかにする。 〔課題3〕脳指標による対話知能システム評価の試み:MRI装置内の被験者と装置外の人間や知能システム(パートナー)を対話させ、パートナーの発話に対する被験者の脳反応を、課題2の発話動機脳反応の知見に基づいて分析し、対話継続動機の客観的評価に挑戦する。
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