2022 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマノイドと人の身体的対話を通した自己と他者のモデル構築
Publicly Offered Research
Project Area | Studies on intelligent systems for dialogue toward the human-machine symbiotic society |
Project/Area Number |
22H04858
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
升森 敦士 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (10870165)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Imitation / Mimicking / Variational autoencoder / Humanoid robot / Neural network |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に二つの実験について進めた。一つ目の実験は、これまでの研究で用いてきた模倣システムにVariational Autoencoder (VAE) を用いた概念形成をもとにした行為の目的を模倣するためのImitationの回路を追加した実験である。Mimickingモードでは、関節角度を推定することで、人が「どのように」動くかを再現する。Imitationモードでは、変分オートエンコーダ(VAE)の潜在空間の各クラスターの中心を身体運動の概念として位置付け、その象徴的な身体運動を生成することで、人の行為の意味を再現しようとする。実験の結果、Mimickingだけ、Imitationだけで模倣するよりも、これらの戦略を使い分けることで、VAEの潜在空間のクラスターが安定して、かつ身体動作のクラスターと対応することが示された。機械的なHowの模倣(Mimicking)と、身体動作の意味的なWhatの模倣(Imitation)を選択的に使用することで、身体運動の概念形成につながり、さらにそれらの記憶から新たな動きをの探索が生じるといったように発展的に概念形成をおこなっていくことが示唆された。これらの研究成果について国際学会ALIFE2023で発表した。 二つ目の実験は、共通言語を持たないヒューマノイドと人がコミュニケーションを通して共通言語を獲得していく実験である。この実験では、ヒューマノイドが人に何かしらのタスクをおこなって欲しいという意図を持っている状況で、人がヒューマノイドの意図を推定しながら行動していくというフレームワークである。この実験の結果、シンプルなタスクの場合は、人とヒューマノイドの間に身振りや発話による共通言語が生じることが確認できてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模倣を通した自己モデルの獲得、および、人とのコミュニケーションを通した共通言語の獲得という二つの実験について研究を進めることができた。前者の研究成果は国内研究会と国際学会ALIFE2024で発表を行った。また、これらの実験システムについて、文化庁メディア芸術祭大阪中之島展、文化庁メディア芸術祭25周年記念展で公開実験として展示を行うなどアウトリーチ活動も多数行った。研究計画の変更はあったものの、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトを開始した後に、大規模言語モデルの性能が非常に高くなり研究が盛んに行われるようになってきている、対話知能システムの研究を進めるうえで、このような人と同等以上の対話能力を持ち始めた大規模言語モデルを使用することは非常に重要であると考えられることから、今後は予定していた計画を修正し、大規模言語モデルとヒューマノイドを結つけた対話知能に関する研究を行うことを計画している。
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