2022 Fiscal Year Annual Research Report
実世界と実験室における物語形成の脳基盤に関する機能イメージング研究
Publicly Offered Research
Project Area | Human behavioral science for subjectification ("tojisha-ka") by interaction-based & rule-/story-based understanding of the brain & the world |
Project/Area Number |
22H05218
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 龍一郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00585838)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | fMRI / 物語化 / エピソード記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生のエピソード記憶の現象学的特徴に関する質問紙データ、およびエピソード想起に関わるfMRIデータの解析をおこなった。収集された各エピソードについて、想起時の感情や鮮明さ、エピソードの重要性など、複数の現象学的指標を表現する脳内表象を同定するため、表象類似解析(Representation Similarity Analysis:RSA)をおこなった。RSA解析の結果、エピソードを事実に忠実に想起する条件よりも、反事実的なシミュレーションをおこないながら想起する条件において、質問紙調査で得られたエピソードの現象学的表象と相関する脳活動パターンを示す領域を同定できた。さらに、関心領域解析をおこない、特に両側角回や後部帯状回を含む内外側頭頂領域の活動パターンで強い相関をみとめた。一方、記憶の想起に重要と考えられている海馬を含む側頭内側部の活動パターンは、エピソードの現象学的特徴の表現と強い相関は観察されなかった。この結果は、エピソード想起に伴う現象学的特徴と想起様式、および記憶の脳内ネットワークにおける特定脳部位が選択的に関係することを示しており、学術的重要性が高いと考えられた。国際専門誌に成果を発表するため、論文を執筆し、80%程度完成させた。実生活のエピソード記憶の物語化に加え、実験室環境における物語化プロセスを解明するため、新規の心理実験を準備した。想起時における生理学指標を取得するため、皮膚電気抵抗測定器の導入をはじめ、研究環境の整備をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生のエピソード想起に伴う現象学的特徴の脳内表象に関する解析結果を論文化する作業が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在準備中の論文を国際専門誌に投稿する。実験室環境における物語化に関する心理実験パラダイムを同じ研究班の研究者と相談しながら調整し、データ取得を開始する。
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