2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum Information theoretical analysis of one-dimensional tensor network
Publicly Offered Research
Project Area | The Natural Laws of Extreme Universe--A New Paradigm for Spacetime and Matter from Quantum Information |
Project/Area Number |
22H05254
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 晃太郎 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (40895819)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | テンソルネットワーク / 量子情報理論 / 行列積状態 / エンタングルメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1次元スピン系の混合量子状態を表すテンソルネットワークである行列積密度演算子(MPDO)の解析を行った.1次元局所ハミルトニアン系の熱平衡状態(Gibbs状態)はこうしたMPDOで効率よく記述できることが知られている.他方,MPDOが効率よく記述できる量子状態の集合が物理的にどのように特徴づけられるかは不明である.我々のこれまでの研究で,逆にほとんど全てのMPDOは何らかの1次元局所ハミルトニアンの熱平衡状態として表せることが示唆された.本研究はこの示唆を元に,熱平衡状態では表せない例外的なMPDOを含めた特徴付けを行う.本年度ではこれらの結果を元に,MPDOの繰り込み固定点の解析,及び固定点へのくりこみ操作の開発に取り組んだ. これまでの先行研究により,MPDOの繰り込み固定点は,ある仮定のもとで熱平衡状態と大局的射影演算子に分解できることが示されていた.本研究では特にFinitely Correlated Statesと呼ばれるクラスのMPDOについて固定点の解析を行い,大局的射影演算子が非自明になる条件を精査した.結果,情報処理不等式に関する定理を用いることで,固定点にあるFinitely Correlated Statesが熱平衡状態と大局的演算子に分解できることが概ね示されたた. MPDOの繰り込み操作の開発においても,情報処理不等式の等号達成条件を応用することで,隣接領域間の相関を保ったまま領域の自由度を削減する方法を考察した.結果,自由度を削減したい領域の縮約密度行列が完全混合状態の際は自由度削減後の次元の下限を求める方法を発見したが,一般の状態に関しては新たなアプローチを開発する必要があることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は主に3つの計画から構成されているが,2つの計画に関しては概ね完成の目処がついてきた.とはいえ,2つ目の繰り込み操作の問題に関しては,当初予定していたアプローチだけでは上手くいかないことが分かってきたために方針に改善が必要であり,当初の計画以上の進展が合ったとは言えない.
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目の計画である繰り込み固定点の解析に関しては証明の完成と論文の執筆に取り組む.また,繰り込み操作の問題に関しては数理的な証明が可能な操作に限らず,経験論的な繰り込み操作の数値的な解析を行う方向性も考慮していく.また,同時に最後の計画である,2次元テンソルネットワークとのバルク-エッジ対応についての研究に手をつけていく.
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