2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of quantum many body system out of equilibrium and quantum information control with NMR
Publicly Offered Research
Project Area | The Natural Laws of Extreme Universe--A New Paradigm for Spacetime and Matter from Quantum Information |
Project/Area Number |
22H05256
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 康弘 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (00415184)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ホール効果 / 量子スピン液体 / 核磁気共鳴 / 時間結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称性の自発的破れは、凝縮系および素粒子・宇宙物理学に共通する物理学の基本概念のひとつであり、時間と空間を結ぶローレンツ対称性から、並進対称性の破れは、空間軸のみならず時間軸に対しても起きると考えられる。この時間結晶とよばれる新たな量子状態の究明は、非平衡量子多体系をプラットフォームとする量子情報処理につながる技術として、その重要性が高まっている。本研究は、核磁気共鳴(NMR)を用いた非平衡量子多体系の開発によって、高速かつ低エネルギーで駆動する新たな量子情報システムを創出するものである。超伝導を凌ぐ量子情報制御システムを構築するために、長距離の量子エンタングルメントを有する量子スピン系や量子ホール系に着目し、新奇な準粒子の性質を利用した強固な量子時間結晶を開拓する課題に取り組んできた。新たに複数の量子状態を同時に制御可能な多重共鳴技術を開発し、高次の周期性を有する時間結晶を実現した。今年度は、固体NMRを主な手法として、三次元量子ホール効果を示すディラック電子系において、量子化されたワイル電子のスピン励起の性質を明らかにした。また、極低温までNMR実験を行う計測システムを新たにセットアップし、熱量子ホール効果を示す量子スピン液体物質における、準粒子の磁気励起の性質を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極低温まで核磁気共鳴実験を行う計測システムを新たにセットアップし、量子コヒーレンスの長時間保持が可能となった。また、核二重共鳴実験用のプローブを製作し、複数の共鳴周波数における量子状態制御システムを実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で立ち上げた新たな磁気共鳴システムを用いて、様々な量子物質(ディラック電子系や量子スピン系物質など)における核磁気共鳴実験を行う。特に、長距離の量子エンタングルメントが期待される極低温下の実験を推進し、周期的な摂動下で誘起される自発的な対称性の破れについて検証する。また、非平衡電子系との結合を図り、NMRとの二重共鳴による複合開放量子系を構築する。それによって、巨視的量子系を用いた誤り耐性量子演算につながる革新的な量子情報技術を確立する。
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Research Products
(3 results)