2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of novel quantum many-body phenomena originating from non-ergodicity in isolated quantum systems
Publicly Offered Research
Project Area | The Natural Laws of Extreme Universe--A New Paradigm for Spacetime and Matter from Quantum Information |
Project/Area Number |
22H05268
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
國見 昌哉 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 助教 (00844820)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 孤立量子系 / 固有状態熱化仮説 / 非エルゴード系 / 冷却原子系 / 量子シミュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は運動量空間におけるHilbert space fragmentation(HSF)の研究を行った。HSFとは近年発見された孤立量子系における非エルゴード機構(長時間時間発展しても熱平衡状態に達しない)である。HSFは系に非自明な保存量が存在することに起因しており、この保存量によるkinetic constraintによりHilbert空間が系の対称性とは別にシステムサイズの指数関数に比例する数の部分空間(Krylov部分空間)に分割されるということが起こる。これにより長時間ユニタリー時間発展させても熱平衡化が起きない。
本研究ではHSFを通常とは異なり運動量空間で起こす模型の考案を行った。具体的には、特殊な保存量を持つハミルトニアンを考え、そのエンタングルメントエントロピーやKrylov部分空間の数の解析を厳密対角化計算や解析計算をもとに行なった。その結果、実空間のHSFで知られている性質が運動量空間でも現れていることが数値的に確かめられ、運動量空間でHSFが起きていることが示せた。また、運動量空間のHSFに伴い、寿命が無限大かつマクロな大きさの流れを持つ永久流状態が出現することを解析的かつ数値的に確かめた。また、乱れに対する安定性を調べることにより、この永久流状態はよく知られている超伝導や超流動系の永久流状態とは異なる性質を示していることを明らかにした。この結果は運動量空間のHSFが永久流状態の新しい機構となっていることを意味している。
本結果は現在論文誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り運動量空間でHSFを示す模型の構築に成功し、論文を投稿中であるためおおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は運動量空間のHSFの知見を生かし、運動量空間での局在現象についての研究を行う予定である。例えば、ある特殊な模型ではnonergodic extended相と呼ばれている相の存在が示されている。この相ではergodic相と非エルゴード的な相の中間の性質を示すことが知られている。この相を運動量空間で考え、超流動性との関連を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)