2023 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical research on methods to measure quantum natures of evaporating primordial black holes by using future observations
Publicly Offered Research
Project Area | The Natural Laws of Extreme Universe--A New Paradigm for Spacetime and Matter from Quantum Information |
Project/Area Number |
22H05270
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
郡 和範 国立天文台, 科学研究部, 教授 (50565819)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 重力波 / ダークマター / インフレーション / 量子性 / ブラックホール / パルサー / 電波 / NANOGrav |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまとめの年として初期宇宙における原始ブラックホール形成がナノヘルツ帯における背景重力波を生む誘導重力波の機構についての最新の理論を発表した。その内容は次のようなものです。2023年6月末に北アメリカナノヘルツ重力波天文台(NANOGrav)により宇宙初期から存在する背景重力波を観測したというニュースが報じられた。複数のパルサーが周期的に出す電波のシグナルの相関を15年間観測したところ、ナノヘルツ帯の電波に背景重力波特有のシグナルを観測したというものでした。もし背景重力波が存在するとすると正確なパルサーの電波の周期を変更するため重力波のシグナルとして観測されます。この背景重力波は各々の銀河の中心にあるという超巨大ブラックホールの衝突でも生じることが知られていますが今回のシグナルはスペクトルの形が有意に異なります。これはインフレーションが直接つくる大きなスケールの重力波に比べて約1千万倍以上も大きいものです。しかし、もしインフレーションが作る小スケールの密度ゆらぎが大きい場合、密度ゆらぎの非線形の2次的効果により大きな重力波が作られる効果があることが知られています。これが誘導重力波です。我々はこの誘導重力波が観測されるシグナルをぴったり一致することを指摘しました。さらに、その密度ゆらぎが潰れて太陽より軽い原始ブラックホールを生成することが理論的に予想されます。その存在量はダークマターの総量の約1%にも及びます。その軽い原始ブラックホールの連星の衝突時に発する背景重力波を将来計画である欧州のアインシュタイン テレスコープ(ET)や、米国のコズミック エクスプローラー(CE)が見つける可能性があります。そうした将来の重力波実験によりインフラトン場の量子性の検証と原始ブラックホールの発見が期待されます。このことを指摘する査読付き論文を出版することができました。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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