2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hydration of the base of the mantle wedge by CO2-bearing aqueous fluids can increase pore-fluid pressure and cause tremors ?
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Slow to Fast Earthquakes |
Project/Area Number |
22H05302
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 静岡大学, 理学部, 教授 (00303800)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 蛇紋岩 / 炭酸塩 / 体積上昇 / 割れ目 / 炭酸塩脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)南海トラフの沈み込みにともなう深部低周波微動の震源はフィリピン海プレートの沈み込みの等深度線に沿っては分布しない。特に紀伊半島の下では、深部低周波微動の震源と等深度線は社交する。それでは、なにがコントロールするか?単純な数値計算では等温度線に沿っているように考える。数値計算を行う仮定条件についてはまだ精査が必要であるが、約500℃付近で起こっているようだと想像できる。この温度条件では、マントル岩は蛇紋岩の安定な温度領域である。 (2)蛇紋岩と水・二酸化炭素流体の反応を高温高圧条件で調べた。実験結果は、蛇紋石の炭酸塩化では脱水反応を伴うことを示す。また、カンラン石を出発物質にした系でも、全ての実験条件において固相の体積は反応前に比べ上昇する。蛇紋岩への二酸化炭素を含む流体の付加は、脱水を引き起こすとともに、固体体積の増加を引き起こすと結論する。天然で蛇紋岩に炭酸塩脈が伴われる現象は多くみられる。浅い場所では海洋底変成作用と呼ばれる海底に近い場所で、また、プレートの沈み込みにともない蛇紋岩も炭酸塩化する岩石が知られる。この蛇紋岩の炭酸塩化反応は脱水反応と固体体積増加をともなう。これらの炭酸塩化反応と深部低周波微動とスロースリップのメカニズムの関係はわからないが、深部低周波微動とスロースリップの起こる温度は500℃前後でマントルウェッジに流体を供給する場所であることを考えると、蛇紋岩やマントルカンラン岩の炭酸塩化反応による体積増加がスロー地震を起こす可能性は高いと考える。 (3)深部低周波微動の起こる地質帯で考えられる地域で、流体包有物の観察を行うために蛇紋岩と炭酸塩や滑石の岩脈を採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海洋プレートの温度モデルの計算が学会誌に掲載できるレベルに達していない。また、深部低周波微動の起こる地質帯で考えられる地域で岩石試料を採取したが、解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋プレートの温度モデルの計算が学会誌に掲載できるレベルに達していない。他の研究者に協力をあおいでいる。深部低周波微動の起こる地質帯で考えられる地域で採取した岩石試料の流体包有物の解析を行う。また、プレートの岩石であるオマーン国のオフィオライト地域のメタモーフィックソールの岩石記載を行う。
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Research Products
(4 results)