2023 Fiscal Year Annual Research Report
Hydration of the base of the mantle wedge by CO2-bearing aqueous fluids can increase pore-fluid pressure and cause tremors ?
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Slow to Fast Earthquakes |
Project/Area Number |
22H05302
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 静岡大学, 理学部, 教授 (00303800)
|
Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
Keywords | 塩水 / 沈み込み帯流体 / 炭酸塩 / 四万十帯 / 三波川帯 / 流体包有物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スロー地震発生の引き金となると想像される沈み込み帯流体の化学組成を理解するために、西南日本外帯のスロー地震発生領域で形成されたと考えられる岩石中の流体包有物の解析を行った。 西南日本外帯の紀伊半島四万十帯の泥質千枚岩と、関東三波川帯の長瀞の蛇紋岩には、開口割れ目を埋める鉱物脈が存在する。前者では、石英とカルサイトからなる脈を、後者からは、マグネサイトとタルクからなる脈とドロマイトからなる脈を採取し、ラマン分光法とマイクロサーモメトリー法を用いて、流体包有物を解析した。いずれの試料にも、塩水の流体包有物が観察された。四万十帯の流体包有物は、塩濃度3% NaCl当量、134°Cの均質化温度を示した。三波川帯長瀞蛇紋岩では、マグネサイト中は塩濃度3.9% NaCl当量、ドロマイト中は塩濃度2.8%、均質化温度はいずれも155°Cであった。これらの開口割れ目とスロー地震の関係は不明であるが、先行研究によって推定された温度と、本研究の塩濃度と均質化温度から、脈の形成条件は、四万十帯で約9 km(300°C)、三波川帯で約20 km(450°C)と推定する。 炭酸塩鉱物は真水にほとんど溶けないが、塩水には溶解する。このため鉱物脈に炭酸塩を含むこと、その中に含まれる流体包有物が塩水であることは調和的である。スロー地震の発生メカニズムの一つに開口割れ目との関連が議論されている。その割れ目を埋めている脈中の流体包有物を解析することで、流体の化学組成とその密度を知ることができる。本研究は、沈み込み帯流体の化学組成は海水に近い塩濃度を持つ塩水であり、四万十帯の堆積岩中でも、より深部の三波川帯の蛇紋岩体でも、H2O-CO2-NaCl-CaOの化学組成を持つことを示す。
|
Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(14 results)