2022 Fiscal Year Annual Research Report
Expansion of Chemoselective Functionalization of Carboxylic Acids by Parallel Optimization
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05329
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 洋平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60609816)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | カルボン酸 / ラジカル / 機械学習 / ホウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自の技術である、ホウ素触媒を用いたカルボン酸のエノラート生成法に光励起を組み合わせることでβ位アリル化反応の開発を検討した。2021年に論文発表したカルボン酸α位アリル化の副生成物としてわずかに得られていたβ位アリル化体の生成比率向上を目指し、ホウ素触媒の配位子、塩基、およびアリル化剤の構造を行った。塩基、アリル化剤は従来と同じ化合物が適切であった一方で、配位子はBINOL型配位子を単体で用いるよりもBINOL型配位子とアミノ酸型配位子を組み合わせた条件で収率が向上することが分かった。カルボン酸エノラートの生成に二つのホウ素触媒が関与しているという想定反応機構に照らして考えると、カルボン酸エノラートの生成と光励起およびC-C結合形成段階に二種類の配位子が協奏的に関与していることを示唆するものであると考えられる。そこで、最適配位子を探索するために、まずBINOL型配位子のデータベースの構築に取り組んだ。合成済み配位子34個と多数の配位子候補についてDFT計算を実施し、それぞれの配位子の様々なパラメータを求め、機械学習における記述子として利用できるように整理した。一方で、実際に合成したBINOL型配位子34個を用いて、β位アリル化反応を実施し、収率を求めた。この実験的データとDFT計算によって得られた様々な記述子を用いてモデル構築を検討した。現在までに配位子構造から収率を予測する精度は低いため、いくつかの配位子候補を合成して実験データを拡充して収率予測モデルの精度を向上させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の配位子の組み合わせがβ位アリル化反応に有効であることを見出し、その最適化のためにBINOL型データベースの構築を行った。このデータベースは、β位アリル化のみならずBINOLを配位子とする様々な反応のモデル構築に活用できるため、今後の研究を支える重要な進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
収率予測モデルの精度を上げ、これを基にしてβ位アリル化の収率を向上する新規配位子の創出を目指す。また、α位アリル化のエナンチオ選択的反応開発にもBINOL型配位子のデータベースを活用し、エナンチオ過剰率の向上を目指す。
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