2022 Fiscal Year Annual Research Report
AIと理論計算の協奏による光駆動型および多成分型ロジウム触媒反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05346
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永島 佑貴 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90880055)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 光反応 / 励起状態 / ロジウム錯体 / 理論計算 / ホウ素化反応 / [2+2+2]付加環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロジウム (Rh) は、光駆動型触媒としての利用例が限られている。周期表上で隣り合わせに位置するイリジウム (Ir) やルテニウム (Ru) が光増感剤として膨大な反応に利用されていることとは対照的である。これは、ロジウムが特定の酸化数を取りにくいためであると考えられる。このようなロジウムの性質を逆手に取った新規ロジウム光触媒の開発に取り組んだ。 当該年度では、シクロペンタジエニル配位子に着目し、効率的に光を吸収できる新規ロジウム錯体を理論計算によって設計した。単純な共役系の拡張は錯体の安定性を損ねることが予想されたため、共役系を増やす戦略によって、スピロ部位を有する新規ロジウム錯体 Spiro-fluorene-indenoindenyl (SFI)-Rh(I) を設計した。合成した SFI-Rh(I) 錯体を様々なロジウム触媒反応に適用した結果、「アレーンの C-H ホウ素化反応」や「ジインとアルキンの [2+2+2] 反応」が青色光照射下においてのみ進行することを見出した。実験と理論計算による解析の結果、従来の触媒では反応できない基質が利用可能であることと、律速段階の光励起状態において metal-to-ligand charge transfer (MLCT) が起こることで遷移状態が安定化されることを明らかにした。 本研究成果は、以下の学術雑誌に掲載された。S. Ouchi, T. Inoue, J. Nogami, Y. Nagashima*, K. Tanaka*, Design, synthesis, and visible-light-induced non-radical reactions of dual-functional Rh catalysts. Nature Synth. 2023, 2, ASAP.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スピロ部位を有する新規ロジウム錯体 Spiro-fluorene-indenoindenyl (SFI)-Rh(I) を設計し、単一光触媒として複数の種類の反応に利用できることを見出した。理論計算によって錯体の設計と反応機構の解明を行うことができ、合理的な反応なロジウム触媒反応の開発という当初の目的の一つを達成した。本成果は、2023年の Nature Synthesis 誌に採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、触媒の各部位に置換基を導入し、電子的・立体的な修飾を施した触媒ライブラリーを構築し、触媒ごとに活性が変化することを見出しています。今後はこれらの構造触媒活性の情報を用いて機械学習による解析を行い、さらなる機構解明や新規触媒設計へと展開します。
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Research Products
(11 results)