2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of amination reactions utilizing the digitization of hypervalent iodine compounds
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清川 謙介 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80632364)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | アミノ化 / 超原子価ヨウ素 / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発したベンゾフェノンイミン部位を有する超原子価ヨウ素化合物Aを酸化剤かつイミニルラジカル源として活用する酸化的アミノ化により、入手容易な原料(カルボニル化合物)から医薬品などの機能性化合物合成における有用なビルディングブロックとなる含窒素化合物を合成する画期的な手法の開発研究を実施した。毒性の高い重金属酸化剤や高価な遷移金属触媒を用いることなく、これまで合成困難であった非天然型α-アミノ酸誘導体をはじめとする様々な含窒素化合物の環境調和性に優れた合成法の開発に取り組んだ。 実際に、エステルやケトン、アミドなどの種々のカルボニル化合物に対して適切な塩基を作用させて対応するエノラートを調製し、超原子価ヨウ素反応剤Aを作用させることでアミノ化が進行し、α-アミノカルボニル化合物が得られることを見出した。本反応は、重金属酸化剤や遷移金属触媒を用いる必要のない優れた手法である。また、得られた種々のα-アミノカルボニル化合物をα-アミノ酸(誘導体)や1,2-アミノアルコール、1,2-ジアミンへと変換し、本アミノ化の合成的有用性を示すことができた。 本研究で用いる超原子価ヨウ素化合物は合成が容易であり、様々な置換基を有する誘導体が合成可能である。いくつかの誘導体を合成し、それらを用いてアミノ化を検討した。本反応のデジタル(自動合成)化に向けて、超原子価ヨウ素化合物をDFT計算により構造最適化し、置換基の立体的・電気的性質に関わると考えられる各種パラメータを検証し、アミノ化の収率との相関を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エステルやケトン、アミドなどの種々のカルボニル化合物に対して適切な塩基を作用させて対応するエノラートを調製し、超原子価ヨウ素反応剤Aを作用させることでアミノ化が進行し、α-アミノカルボニル化合物が得られることを見出した。種々のエステルとリチウム塩基(LiHMDS)から調製したリチウムエノラートに対してイミニル部位を有する超原子価ヨウ素反応剤を作用させることで、良好な収率で目的生成物が得られることがわかった。α位の芳香環に電子供与性および電子求引性の置換基を有するいずれの基質においてもアミノ化が効率良く進行した。α位が脂肪族置換基のエステルにも適用可能であり、α位が第三級炭素の基質を用いた場合にも低収率ではあるが、アミノ化物を合成することができた。本反応は様々なアミドに対しても適用可能であり、α位に芳香族置換基、脂肪族置換基のいずれを有する場合においても効率よくアミノ化生成物を得ることができた。塩基を2当量用いることで第二級アミドのアミノ化にも適用可能であった。さらに、ケトンを基質に用いた場合にも、本アミノ化は進行し、α-アミノケトンを合成することができた。また、得られた種々のα-アミノカルボニル化合物をα-アミノ酸(誘導体)や1,2-アミノアルコール、1,2-ジアミンへと変換し、本アミノ化の合成的有用性を示すことができた。 本研究で用いる超原子価ヨウ素化合物は合成が容易であり、様々な置換基を有する誘導体が合成可能である。いくつかの誘導体を合成し、それらを用いてアミノ化を検討した。本反応のデジタル(自動合成)化に向けて、超原子価ヨウ素化合物をDFT計算により構造最適化し、置換基の立体的・電気的性質に関わると考えられる各種パラメータを検証し、アミノ化の収率との相関を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
ベンゾフェノンイミン部位を有する超原子価ヨウ素化合物Aがアニオン性化合物に対して一電子酸化剤として作用するという反応性を、カルボン酸の脱炭酸アミノ化に適用する。カルボン酸と適切な塩基から調製したカルボキシラートイオンをヨウ素化合物Aで一電子酸化することでラジカル的な脱炭酸を経て炭素ラジカルが生成し、Aから発生するイミニルラジカルと速やかに結合することで、目的のジアリールメチレンアミンを与えると考えた。基質の溶解性とアニオン性を考慮し、対カチオンとしてはセシウム(Cs)を適用する。実際に、可視光照射条件下、中程度の収率で目的化合物が生成するという予備的結果を得ている。本系においても、機械学習を活用することで、条件最適化のプロセスを最大限効率化する。また、反応系にスチレン類やアクリル酸エステルなどを共存させることで三成分カップリングに展開し、従来法では合成困難な複雑なジアリールメチレンアミンやα-アミノカルボニル化合物を一段階で合成する。 開発したアミノ化のデジタル化に向けて、化学選択性および官能基許容性を網羅的に評価し、情報を収集するために、本領域で独自に作成した、様々な官能基を有する外部添加剤から構成される「官能基評価キット」を利用して検討を進める。また、アミノ化のフロー化を検討する。
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Research Products
(8 results)