2022 Fiscal Year Annual Research Report
AI支援によるアルケンのanti-Markovnikov型水和反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05368
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三浦 智也 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (10378804)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / アルケン / 水和反応 / anti-Markovnikov選択性 / パラジウム触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規な反応を開発する場合、収率ゼロが続いてしまうため、反応因子の解析や反応条件最適化に機械学習を活用することが難しい。そこで本研究では、これを克服する方法として「類似反応の反応条件や反応機構から機械学習により反応に重要な因子を解明し、その情報をもとに目的とする新規反応の開発や反応条件の最適化が可能か」を検討する。モデル反応として,有機合成化学分野で長らく困難とされてきた脂肪族末端アルケンのanti-Markovnikov型水和反応を取り上げ、この反応の実現を目指している. まず、Grubbsの報告したanti-Markovnikov型辻-Wacker酸化反応 をモデル反応とし、脂肪族末端アルケン(基質)に対してPdCl2(PhCN)2(12 mol %)、CuCl2・2H2O(12 mol %)、AgNO2(6 mol %)、アルコール(溶媒)とMeNO2の15:1混合溶媒を加え,酸素雰囲気下、20 °Cで6時間反応させた。基質、求核剤、溶媒、配位子、触媒、添加物をそれぞれ数種類変化させ、アルデヒドとケトンの生成比に対する影響を見た。反応が進行した上で影響が強かったのは脂肪族末端アルケンとアルコールであった。 そこで次に、基質による位置選択性の違いを機械学習させることにした。新しく基質を約50個選び、論文に報告されている条件で最低2回ずつ反応をかけ、アルデヒドとケトンの収率(位置選択性)を実験的に求めた。 また、Grubbsの報告した反応条件で「評価キット」を検討した。添加剤が反応を促進するなどのポジティブな効果(正の効果)は観測できなかったが、定まった基準を用いて反応の官能基許容性を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に、実験化学データーを取得し、現在、それを用いた機械学習を行えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
計算化学的手法を用いて、全基質のエネルギー値、軌道準位(HOMO,LUMO)、NBO電荷、Sterimolパラメーターなどを導き出した。これらの結果をもとに54個の記述子を作成したのち、同じ傾向を示す記述子の削減(相関係数0.8以上)を行なって35個とした。全データを70:30の比で訓練データと検証データに分け(500通り)、これを13種類の機械学習法でモデル構築してR2、MAE、MSE、RMSE値で評価した。今後は、より精度よく位置選択性の違いを予想できるように、各種のチューニングを行っていく。
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Research Products
(1 results)