2022 Fiscal Year Annual Research Report
立体配座に着目した反応性制御因子推定法の確立とその応用
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05375
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
深谷 圭介 富山県立大学, 工学部, 助教 (40821575)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 立体配座 / 遷移状態 / 天然物合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では反応性制御因子として複雑分子の配座多様性に着目し、計算化学を利用した高度な基質設計を達成することを目的としている。本年度は、有機分子の立体配座情報を伴った解析処理や部分構造抽出の際に課題となる原子マッピングに関して、複雑な構造や反応においても適切に対応付けが可能な独自のプログラムを開発した。本プログラムは、研究代表者が開発したPythonライブラリACCeL(https://accel.kfchem.dev/)の一部として実装した。ACCeLは、配座異性体の解析処理に特化し、立体配座群に対するバッチ計算を容易に実行するための多様な機能を有する。それらの機能の中で配座異性体間の原子ナンバリング修正機能を、化学反応の前後構造の原子対応付けへと拡張した。これにより反応式の作図から反応エネルギー障壁算出までの一連の多段階処理を完全に自動化でき、遷移状態計算による反応性予測を、天然物の合成経路設計へと容易に展開可能となった。現在進行中のピロールイミダゾールアルカロイド類の合成研究では、鍵反応となるDiels-Alder反応の基質設計に、自動化された反応性予測プログラムを利用した。本反応では3つの連続した立体中心を含有する6員環を高い立体選択性で構築する必要があった。そこで予め、様々なDiels-Alder反応基質を設計し、それぞれの反応進行の可否および選択性を、反応エネルギー障壁に基づき評価した。その計算結果に基づき、現在ピロールイミダゾールアルカロイド類の合成研究を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配座異性体を利用した反応性制御因子推定法確立に重要な課題である原子マッピングに関して十分な進捗がみられたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
複雑分子の配座多様性に基づく反応性制御因子推定法を確立し、所属研究室で進行中の天然物合成へ適用を試みる。
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Research Products
(25 results)