2022 Fiscal Year Annual Research Report
プログラマブル触媒の創製で拓くC-H結合アミノ化反応のDX
Publicly Offered Research
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
22H05383
|
Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
野田 秀俊 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主任研究員 (40771738)
|
Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
Keywords | ナイトレン / 配座異性体 / ロジウム錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素-水素結合の触媒的官能基化は,医薬品や天然物等の複雑分子を直接修飾することで多様な誘導体の迅速供給を可能としうる。高い反応性と安定性を兼ね備えた触媒Rh2(esp)2の開発はナイトレン化学における金字塔であるが,多くの反応例においてその選択性は中程度に留まっている。本提案では触媒の動的配座変換が低選択性の主因であるという仮説に基づき,錯体の配座を固定した新規触媒群の創出を目指している。 2022年度は新規錯体の設計と合成を中心に研究を推進した。計算化学により提案された配位子修飾指針に従い錯体を合成した。期待通りに動的配座変換が抑制されることを確認し,2つの配座異性体を単離した。続いて配座を固定した錯体ライブラリー構築のために,芳香環上に臭素原子を有する配位子を設計し錯体合成を行った。配座異性体の分離後に,クロスカップリング反応を行うことで,配座を固定したまま錯体の誘導体化が可能と見出した。市販ボロン酸の構造多様性を利用することで,さまざまな置換基を有する錯体を30種類以上合成した。また多くの錯体のX線結晶構造解析にも成功し,置換基の種類により錯体中の芳香環部位と金属-金属軸とのなす角度が大きく異なることも見出した。これらの結果は置換基を変えることで反応中心である金属近傍の立体環境を大きく調節可能と示している。新規錯体群を用いた立体選択的触媒反応開発の可能性を示唆するものである。一方で電子的性質については,構造修飾部位が金属への配位点とは離れていることから現状では大きな変化は見られていない。この事実からいずれの触媒もRh2(esp)2と同様の高い反応性を有していると期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載のように,動的な配座変換を抑制する配位子設計指針を見出したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は取得した錯体ライブラリーを用いてナイトレン移動反応の検討を行う。特にRh2(esp)2では選択性発現が困難とされている位置選択性やジアステレオ選択性の発現を積極的に検討していく。X線結晶構造から明らかとなっているように,本錯体群では置換基の種類に応じて反応点近傍の立体環境が大きく変化する。配座を固定した剛直な骨格を有する触媒の利用により,選択性発現に重要な高度に構造制御された遷移状態の実現が可能になると期待できる。また立体的・電子的因子の自在チューニングが可能な柔軟な合成経路を確立したことで,置換基の性質を統一的に変化させることが可能となった。そこで従来は困難であったアミノ化反応の機械学習による高精度予測モデルを確立し,選択性発現に重要な因子の一般化を試みる。
|
Research Products
(11 results)