2022 Fiscal Year Annual Research Report
Artificial evolution of polymerases that applicable to nucleic medicines
Publicly Offered Research
Project Area | Bottom-up creation of cell-free molecular systems: surpassing nature |
Project/Area Number |
22H05402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市橋 伯一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20448096)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 無細胞合成生物学 / 進化実験 / ポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ポリメレースを用いたmRNAワクチンや核酸医薬の合成が注目されている。ポリメレースを用いた合成では、化学合成よりも効率的に長鎖の核酸を合成できるが、その高い基質特異性が問題となる。mRNA医薬や核酸医薬は体内での分解を抑えるために人工的な修飾塩基を含むが、普通のポリメレースはこのような人工塩基をほとんど使うことができない。ポリメレースが高い基質特異性を持つ理由は、細胞内にある様々な代謝物のなかから正しい基質を使ってRNAやDNAを合成するために進化した結果だと考えられている。そこで本研究では、天然の細胞とは異なり代謝物をほとんど含まない“きれいな”人工細胞システム(再構成転写・翻訳系、DNA or RNA複製系、微小油中水滴を組み合わせたシステム)でポリメレースを人為進化させることにより、その活性を維持しながら基質特異性を下げる方法の確立を目指した。2022年度には、Phi29 DNAポリメレースとQbeta RNAポリメレースについて追加の進化実験を、RNAポリメレースでは200世代、DNAポリメレースでは60世代分実施した。さらに進化途中のいくつかの世代において、配列解析を行った。RNAについては、逆転写したのちにPacbioシーケンサーによるロングリードシーケンスを行った。DNAについてはOxford nanoporeシーケンサーによるロングリードシーケンスヲ行った。どちらの方法でも複数の変異を同定することができた。今後、進化途中に出現したポリメレース変異体について、その非天然塩基の取り込み活性を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、進化実験を完了できたため、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、進化実験中に出現した変異型のポリメレース(RNAポリメレース約5種類、DNAポリメレース約5種類)について、その非天然塩基の取り込み活性を比較する。予想としては、進化の期間が長いものほど、取り込み活性が上昇していると考えている。その後、取り込みが高くなった変異を同定し、その分子メカニズムについても考察を行う。以上の研究により、当初の仮説である「代謝物をほとんど含まない“きれいな”人工細胞システム(再構成転写・翻訳系、DNA or RNA複製系、微小油中水滴を組み合わせたシステム)でポリメレースを人為進化させると基質特異性がさがる」という仮説について検証ができると期待している。
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