2023 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応動力学理論を用いた頑健な反応経路設計アルゴリズムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Bottom-up creation of cell-free molecular systems: surpassing nature |
Project/Area Number |
22H05403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫岡 優介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70903160)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 反応動力学 / 微分方程式 / PUREシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本公募研究では、PUREシステムの数理モデルに関する研究と、大腸菌細胞の代謝動力学モデルに関する研究を行なった。 PUREシステム(以下PURE)は大腸菌の転写と翻訳に関わる分子をひとつひとつ精製したものである。PUREを使ったin vitroの転写翻訳実験系は、系を構成する分子種とその量をコントロールできる、極めて「素性の知れた」実験系となる。ePUREシステム(以下ePURE)は、試験管内で何が起こっているのかを計算機上で仮想的に再現するために構築された、PUREの数理モデルである。 一般に化学反応系は個々の酵素の最大反応速度定数などのパラメーターに応じて、最終生成物の合成速度が変化する。本研究では、ePUREにおけるポリペプチド鎖の合成速度がどのような「地形」を持っているか、大学院生と共に共同研究を行なった。 本プロジェクトで当グループでは主に以下2つの成果を得た。ひとつは、これまでePUREが正確に再現できなかった、PUREのEF-Tu初期添加量への非単調な依存性を、パラメーター最適化によって再現できるようにしたことである。また、いくつかの生化学パラメーターの変化によって、一定時間内でのポリペプチド鎖合成速度が極めて急峻に変化することを明らかにした。これらは複数の分子種が非線形に相互作用した結果起こっている現象である。このような現象への理解の深化は、本領域が目指す超越分子システムの構築において重要な理論的基盤になることが期待される。
大腸菌の代謝動力学モデルにおいては、細胞が安定的に成長している状態から代謝状態に擾乱が課されると代謝状態がどのように応答するのかを調べた。大規模な数値シミュレーションの結果、大腸菌中心代謝経路は擾乱に対して大きな応答をすることが明らかになった。また、その応答性はATPなどの補酵素と代謝ネットワークの疎結合性が重要であることが分かった。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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