2022 Fiscal Year Annual Research Report
アトミックレイヤーファンクショナリゼーションによるヤヌス原子層科学の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Science of 2.5 Dimensional Materials: Paradigm Shift of Materials Science Toward Future Social Innovation |
Project/Area Number |
22H05441
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 俊顕 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20502082)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | TMD / ヤヌスTMD / GNR / 合成 / プラズマプロセス / その場観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究二ヶ年計画の初年度計画に従い研究を行い以下の成果を得た。 第一に、その場観測原子層置換(ALF)装置の開発に成功した。マイルドプラズマ照射中の単層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の最表面カルコゲン原子を別のカルコゲン原子に置換するヤヌス化反応に関して、ラマン分光スペクトルと蛍光スペクトルをリアルタイムで取得可能な装置を開発し、ヤヌス化反応をその場観測することに成功した。さらに、同時に気相活性種を分析可能な四重極質量分析器も配備することによって、ヤヌス化反応機構の解明に必須な気相内活性種の情報を取得することが可能となった。 第二に、開発したその場観測ALF装置を活用することで、気相中の酸素濃度とヤヌス化反応に密接な関係が存在することを明らかとした。酸素濃度が一定値以上を超えると、カルコゲン原子の酸化が促進してしまいヤヌスTMDにダメージが入ることが明らかとなった。高品質ヤヌスTMD創製の観点で重要な知見といえる。 第三に、領域内研究者と数多くの共同研究開始に至った。特に、計画班の宮田グループと連携することで、ヤヌスTMDと通常TMDの二層積層構造におけるモアレポテンシャル制御に関する研究が進展した。この他、ヤヌスTMDを連続的に巻き込んだ構造のヤヌススクロールの創製、それらを活用した触媒活性計測、TMDナノチューブのヤヌス化によるヤヌスTMDナノチューブの創製、ヤヌスTMDの光物性機構解明、角度分解高電子分光を用いたヤヌスTMDの電子状態直接計測などの共同研究を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画にあった、その場観測原子置換装置の立ち上げを完了し、ヤヌス化反応機構に関する重要な知見を発見した。さらに、領域内において数多くの共同研究開始に至っており、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究二年年目にあたる次年度は、初年度に立ち上げたその場観測原子置換(ALF)装置を活用して、ヤヌス化反応機構詳細の解明を目指す。さらに、これらの知見を活用して様々な種類のヤヌスTMD創製を行い、積極的な共同研究を継続する。また、ヤヌスTMDの応用に関しても研究を展開し、ヤヌスTMDを用いた高性能太陽電池開発を目指す。
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