2022 Fiscal Year Annual Research Report
トランスラトームダイナミクスから探る適応の多様性
Publicly Offered Research
Project Area | Census-based biomechanism of circuit construction and transition for adaptive brain functions |
Project/Area Number |
22H05481
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷本 拓 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70714955)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 翻訳制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、経験や状態変化に応じた行動適応を引き起こす神経回路の機能変化に着目し、適応回路で生じる可塑的変化をタンパク質の翻訳効率から理解する。ショウジョウバエの細胞種特異的な遺伝子発現系と比較トランスラトーム・トランスクリプトーム解析を組み合わせ、神経活動依存的な翻訳効率の経時変化を明らかにすることを目指す。 この目的のため、研究代表者らのグループはこれまでに、細胞腫特異的なリボソームプロファイリングの実験条件を最適化し、サンプル調整法や翻訳活性の測定法を確立した。また、この手法を神経細胞およびグリア細胞に適用し、リボソームプロファイリングを行うことで各遺伝子に対する翻訳活性の検出に成功している。今年度は、ショウジョウバエ成虫の神経細胞またはグリア細胞に光感受性イオンチャネルChannelrhodopsin-2-XXLを発現させ、光刺激による脱分極に伴う転写・翻訳の変化をプロファイルした。光刺激後の異なるタイミングでサンプリングした転写産物を比較する「比較オミクス解析」により、各遺伝子の翻訳効率のダイナミクスを明らかにした。これら神経活動依存的に翻訳効率が変化する遺伝子群の配列解析から、特定の遺伝子種において5' 非翻訳領域に存在している共通のモチーフを発見した。これにより、神経細胞が一連のタンパク質群を迅速に合成することによって適応回路の可塑性が誘導されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標をおおむね達成し、着実に研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
各遺伝子の翻訳効率の詳細な経時変化を明らかにするため、光刺激後のタイムスケールをより細分化したうえで比較オミクス解析を実施する。具体的には、光刺激後10分、30分、90分、270分のタイミングでサンプリングし、同一免疫沈降産物からRNAseqとリボソームプロファイリングを行う。
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