2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体脳内1細胞での適応回路再編成の時空間分子メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Census-based biomechanism of circuit construction and transition for adaptive brain functions |
Project/Area Number |
22H05491
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三國 貴康 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90786477)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | イメージング / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
ある脳部位において経験依存的に神経回路が再編成されるとき、当該部位の全ての細胞で一様に再編成が起こるのではなく、一部の細胞でよく再編成が起こることが知られている。では、1)再編成がよく起こる細胞の特徴は何か?また、2)再編成が起こる細胞ではいつ、どこで、どのような分子が働いているのか?この問いに答えるには、まず、1細胞まるごとのレベルで再編成の程度を定量的に把握する必要がある。しかしながら、1細胞における回路再編成を定量的にモニターするのは、現在の技術では容易ではない。経験依存的に神経回路が再編成される際には、細胞レベルでは入力するシナプスのパターンが変化する。1個の神経細胞にはおよそ数千個の興奮性シナプスが樹状突起スパインに形成されており、これらスパインの構造および機能が変化することで回路は再編成される。したがって、各々のスパインの構造・機能を網羅的に同定しその経験依存的な変化をモニターできれば、1細胞まるごとでの経験依存的な神経回路の再編成を定量的に把握できる。そこで2022年度は、生体脳内1細胞での回路再編成をシナプスレベルで網羅的に観察し定量的にモニターするための技術基盤を確立することを目指した。まず、興奮性シナプス伝達の場である樹状突起スパインでの神経活動を高感度かつ高S/N比でイメージングするために、スパイン分子の内在的な発現量を変化させることなく、スパインでのカルシウム上昇を選択的かつ高感度にイメージングできるセンサーの開発を進めた。また、空間光変調器を用いて2光子励起レーザーをベッセルビーム化することで、個体の脳内を高速ボリュームイメージングできる顕微鏡のセットアップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していた技術開発は、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に開発した生体脳内1細胞での回路再編成をシナプスレベルで網羅的に観察し定量的にモニターするための技術基盤を、2023年度はさらにブラッシュアップする。そのうえで、脳内1細胞での大規模シナプス活動イメージングを行い、さらにSLENDR/vSLENDR法や2光子蛍光寿命イメージング法を駆使して分子動態イメージングをを行う。これらの実験により、回路再編成時のスパイン特性を定量的に評価し、回路再編成の分子メカニズムを脳内1細胞・シナプスレベルの解像度で明らかにすることを目指す。
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Research Products
(8 results)