2022 Fiscal Year Annual Research Report
クロススケール顕微鏡の実現
Publicly Offered Research
Project Area | New cross-scale biology |
Project/Area Number |
22H05534
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤芳 暁 東京工業大学, 理学院, 助教 (70371705)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | クロススケール生物学 / クライオ蛍光顕微鏡 / 光電子相関観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、細胞内にあるメゾ複雑体を分子レベルで観察できる「クロススケール顕微鏡」を開発することにある。クロススケール顕微鏡とは、電子線トモグラフィーとクライオ蛍光顕微鏡を組み合わせた顕微鏡である。これにより、光と電子で凍結細胞の同一視野をナノレベルの分解能で観察することを目指している。 蛍光顕微鏡は1分子の感度で細胞全体を観察できる唯一の方法である。しかも、フラグメント抗体などを用いれば、分子選択的な蛍光観察はもちろん、リン酸化などの化学修飾選択的な観察も可能である。一方、クライオ電子顕微鏡は、細胞外であれば、分子複合体を原子レベルで観察できる。さらに、細胞全体を観察するかわりに、収束イオンビームと走査型電子顕微鏡を組み合わせで細胞を加工し、凍結切片化した細胞に含まれる生体分子を観察する方法が提案されている。このように、クライオ蛍光顕微鏡は小器官のような比較的大きな構造体の観察、電子顕微鏡は分子複合体の観察と、得意とする観察対象が分かれており、二つを組み合わせると強力な顕微観察法になる。しかし、実際には、蛍光顕微鏡の分解能が電子顕微鏡に比べて2桁悪いため、同一視野を観察しても、それぞれの情報を相関させることは困難である。ごく最近、申請者らは数nm分解能のクライオ蛍光顕微鏡を開発しており、光と電子の分解能の隔たりを解消した。本課題では、ナノレベルの分解能のクライオ蛍光顕微鏡と電子線トモグラフィーを組み合わせた「クロススケール顕微鏡」を開発する。これにより、細胞内のメゾ複雑体を観察し、生命現象の謎に挑む。本年度は、試料交換のついての技術開発を行い、あと少しで「クロススケール顕微鏡」が実現するところまできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、試料交換のついての技術開発を行い、あと少しで「クロススケール顕微鏡」が実現するところまできた。さらに、申請書に無かった領域内の共同研究も進み、生物学的な研究にも進んでいけると考えており、大きな進展があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は予定通り進んでおり、申請書に従った来年度も研究を継続していきたい。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 細胞内1分子ナノスコピーのための近赤外蛍光標識技術の開発2022
Author(s)
藏本和輝, 武藤慶, 宮崎龍也, 山口潤一郎, 成瀬寛太, 神谷直輝,荒巻秀和, 松下道雄, 小田春佳, 志見剛, 木村宏, 藤芳暁
Organizer
日本生物物理学会年会
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