2022 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の左右極性を決定するメゾ複雑体の同定
Publicly Offered Research
Project Area | New cross-scale biology |
Project/Area Number |
22H05544
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲木 美紀子 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (10747679)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞キラリティ / Myosin1D / Miosin1C / マクロファージ / 左右非対称性 / アクチン細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の体は、前後軸、背腹軸のほかに左右の軸をもち、それに従い、左右非対称な内臓の位置や形が決められている。近年、組織を構成する個々の細胞自身も内在的な左右性をもつことが明らかとなっている。この細胞の左右非対称性である細胞キラリティは、細胞のもつ普遍的な属性であることが示されつつあるが、その起源は明らかとなっていない。本研究では、細胞内分子動態観察に適したショウジョウバエの貪食細胞および胚の後腸上皮を用いて、細胞の左右極性を決めるメゾ複雑体とそのスイッチ機構を明らかにすることを目的とした。 (i)この領域内での共同研究として、生体内で細胞キラリティを示すショウジョウバエ胚の後腸上皮細胞の形態形成に及ぼす組織の硬さの影響を調べたいと考え、In-cell AFMを用いて後腸上皮の硬さの計測を行った。後腸は左右非対称な捻転を示し、その前後での硬さの計測を試みたが、ショウジョウバエ胚の外膜が非常に硬く計測不能であることがわかった。 (ii)ショウジョウバエ胚の後腸を用いてキラリティの向きの決定因子である1型ミオシンMyosin1Dおよび1Cの結合因子の探索を行った。まず、Myosin1Dおよび1CのN末端に蛍光タンパク質GFPをタグ付けさせたタンパク質を発現させる系統を作製し、野生型およびMyosin1Dの遺伝子突然変異体において過剰発現し機能的なタンパク質を発現することを確認した。これらを後腸上皮で過剰発現させたキラリティ形成期の胚を集め精製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ショウジョウバエ胚の後腸上皮のIn-cell AFMは技術的な問題で測定不能であることがわかった。また、ショウジョウバエ胚の後腸でGFPタグ付けしたMyosin1Dおよび1Cを発現させる系統を作製し、機能発現は確認できたが、タンパク質の精製まで至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
(ii)ショウジョウバエ胚の後腸上皮を用いたMyosin1Dおよび1Cの結合因子の探索では、GFPナノビーズによる精製を行い、質量分析によりタンパク質を同定する。文献に記載のあった精製キットを使用したものの、十分に精製できず、他のキットを試すことと領域内でも相談してアドバイスを得たい。 (iii)マクロファージを用いたアクチン細胞骨格のイメージングでは、領域内の技術を生かして膨張顕微鏡法やクライオスEM等の手法を用いた観察を行う。
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