2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミジンコの性決定RNAが多面的に機能する機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Biology of Non-domain Biopolymer |
Project/Area Number |
22H05598
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 泰彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60415932)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 長鎖ノンコーディングRNA / ミジンコ / 性決定 / ダブルセックス遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミジンコにおいて性決定遺伝子の Dsx1 mRNA の 5´ UTR として、また Dsx1 を活性化する lncRNA の一部として核内及び細胞質内で異なる機能を有する「性決定の作動 RNA」を対象としてそれぞれの機能が発揮される機構を明らかにするために、作動 RNA の 2 次構造の解析、作動 RNA 結合タンパク質の解析を進めた。まず 205 塩基からなる作動 RNA の 2 次構造を in silico で予測すると、5´ 側の約 170 塩基で大きなステムループ構造が、また3´ 側の約 30 塩基によってもステムループ構造が形成されることがわかった。 続いて作動 RNA を 5 つの領域に分け、各領域の Dsx1 活性化能を解析したところ、3' 側のステムループ構造を持つ領域が Dsx1 活性化能を有することが判明した。Dimethyl sulfate (DMS) を用いて in vitro、in vivo で形成される 2 次構造を明らかにするために、それぞれの解析に適した DMS 処理濃度、時間を検討し、必要な DMS 処理条件を見出した。一方で、作動 RNA 結合タンパク質の解析に用いる CRISPR 依存的 RNA-タンパク質間相互作用検出(CAPRID)法において使用する Cas タンパク質として、2021年に報告されたコラテラル活性を示さない Cas7-11 を検討した。GFP を発現する形質転換体の GFP mRNA を標的として crRNA を設計し、これを Cas7-11 mRNA と卵に共注入した。その結果、crRNA 依存的な GFP mRNA の分解が生じることを見出し Cas7-11 がミジンコ体内で機能することが判明した。これにより、ミジンコにおける CAPRID 法を用いた RNA 結合タンパク質解析のための道が拓けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2 次構造解析においては、当初の予定を変更して性決定作動 RNA の機能エレメントの探索を先に進めたため DMS を利用した 2 次構造決定までは至らなかったが、DMS 処理の条件検討も済み、2 次構造解析のための準備は整った。一方で、CAPRID 法を用いた RNA 結合タンパク質の解析においても、当初利用することを予定していた CasRX で問題となっていたコラテラル活性を有さない Cas7-11 が報告されたため、予定を変更し Cas7-11 を利用することとした。ミジンコ個体内での活性の確認に時間を要したが、CAPRID 法を実行するための基盤は整った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、DMS 処理による作動 RNA の 2 次構造解析、また CAPRID 法を用いた作動 RNA への結合タンパク質の同定を進める。
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Research Products
(14 results)