2023 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質による「ヒストン模倣」現象の作動原理の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Biology of Non-domain Biopolymer |
Project/Area Number |
22H05603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高島 謙 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10802647)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | ヒストン修飾 / 天然変性領域 / ヒストン模倣 / 核小体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は新たなヒストン修飾制御因子として核小体分子Xを同定し、分子XがヒストンH3K27me3修飾の制御に重要であることを見出した。分子XはそのN末端領域が決まった構造をとらない天然変性領域(IDR)であり、ヒストンテールと類似した配列を持つ。申請者は分子XはこのN末端IDRを介して、ヒストンを模倣するように振る舞うことで、エピジェネティクス制御を行なっていると予想し、解析を行なった。本研究課題では分子XのN末端IDRの機能に着目した解析を行なった。 まずCUT&RUN法によりH3K27me3の分布の変化を調べたところ、分子Xを過剰発現させた乳癌MDA-MB231細胞ではH3K27me3修飾が増加している領域もあれば、減少している領域もあり、分子XがヒストンH3K27me3修飾のバランスをゲノムワイドで制御していることが示唆された。一方でB細胞リンパ腫由来株CH12F3-2Aを用いた解析から、分子Xの欠損時には免疫グロブリン重鎖コード領域のH3K27me3修飾の変動のみならず、クロマチンの開閉状態に変化が生じることが明らかとなり、分子XはヒストンH3K27me3修飾とクロマチン高次構造を核小体から制御する因子であることがわかった。さらに分子XのIDRを欠損させた場合、核小体の構造が破綻することも見出しており、分子XのIDRは核小体恒常性の維持に必須であることを見出しているが、ゲノムワイドのヒストン修飾に与える仕組みについてはまだ明確な結論に至っていない。 さらに分子Xの結合因子をIP-MS法で探索したところ、興味深いことに既知のヘテロクロマチン維持因子やRNAスプライシング制御因子、さらに機能未知のメチルトランスフェラーゼを同定した。これは分子Xがヘテロクロマチン構造の変動に寄与するとともに、RNAスプライシングにも寄与している可能性を示唆した。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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