2022 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞ニッチを介した競合的選択による細胞集団の最適化
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding multicellular autonomy by competitive cell-cell communications |
Project/Area Number |
22H05627
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (80281690)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | 微小環境 / 造血幹細胞 / ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の組織幹細胞は、組織の維持・再生・発がん等、運命決定の鍵となり、ニッチ細胞と呼ばれる支持細胞と接着し維持される。研究代表者らは、造血幹細胞のニッチ細胞は、骨髄特異的線維芽細胞、CAR細胞であることを発見した。近年、造血幹細胞集団の一部に変異、「ばらつき」が生じた際、CAR細胞が変容することで変異細胞の割合が競合的に変化する可能性が慢性骨髄性白血病(CML)で示されたが、その分子機構は不明である。本研究では、変異造血幹細胞がニッチ細胞を介した競合的選択によって細胞集団を、どの程度、どのようにして最適化するのかをCMLモデルを用いて明らかにする。 CMLマウスとして、Dox投与の停止によりbcr-abl遺伝子が発現するSCL-tTA/bcr-ablトランスジェニック(Tg)マウスを用いた。SCL-tTA/bcr-abl-TgマウスをUbc-GFP Tgマウスと交配し、Doxを投与してbcr-ablの発現を抑制し、その血液細胞をCXCL12-tdTomatoマウスに経静脈的に移植し、レシピエントマウスはbcr-ablの発現抑制が解除された。 CAR細胞と接着する血液細胞と、CAR細胞のtdTomato蛍光強度をCML発症まで経時的に解析したところ、CMLマクロファージまたは好酸球がCAR細胞のCXCL12を低下させることが推定された。 一方、CMLマウスと正常マウスよりCAR細胞を分離し、遺伝子発現量をマイクロアレイと次世代シークエンサーによるRNAシークエンスを用いて比較し、差が大きい遺伝子のうち転写因子など、CAR細胞の変容に関与する可能性がある分子を検索した。CMLマウスのCAR細胞で発現が高い候補分子が同定されたので、CAR細胞特異的遺伝子欠損マウスを作製するために、Cre遺伝子の発現により遺伝子が欠損するFloxマウスの作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMLでCAR細胞を変容させていると推定される血液細胞が同定され、さらに、CAR細胞で発現しCMLで発現量が増加することからCAR細胞の変容に関与する可能性がある遺伝子が同定されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CMLマウスとして、Dox投与の停止によりbcr-abl遺伝子がSCLを発現する細胞で発現するSCL-tTA/bcr-ablトランスジェニック(Tg)マウスを用いる。CML細胞を可視化できるようSCL-tTA/bcr-abl-Tgマウスを、Ubc-GFP Tgマウスと交配し、Doxを投与してbcr-ablの発現を抑制し、その血液細胞をCXCL12-tdTomatoマウスに経静脈的に移植し、CAR細胞と接着する血液細胞と、CAR細胞のtdTomato蛍光強度を経時的に解析したところ、CMLマクロファージまたは好酸球がCAR細胞のCXCL12を低下させることが推定された。そこで、CMLマウスと正常マウスよりこれらの細胞分画を分離し、遺伝子発現量をマイクロアレイと次世代シークエンサーによるRNAシークエンスを用いて比較し、差が大きい遺伝子のうち細胞外分泌タンパク質、細胞表面タンパク質に注目してCAR細胞を変容させる分子の候補を検索する。候補分子については、その受容体をCAR細胞特異的に欠損するマウスを作製し、CAR細胞の変容における機能を明らかにする。 一方、CMLマウスと正常マウスよりCAR細胞を分離し、遺伝子発現量をマイクロアレイと次世代シークエンサーによるRNAシークエンスを用いて比較し、差が大きい遺伝子のうち転写因子など、CAR細胞の変容に関与する分子の候補を検索し候補分子が同定されたので、CAR細胞特異的遺伝子欠損マウスを作製し、CAR細胞の変容における機能を明らかにする。
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