2022 Fiscal Year Annual Research Report
CPSにおける個体差を考慮した単独性動物の個体―個体群間の行動階層性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Hierarchical Bio-Navigation Integrating Cyber-Physical Space |
Project/Area Number |
22H05649
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40514865)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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Keywords | サイバーフィジカルシステム / 野生動物 / 行動パターン / 個体差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はツキノワグマを対象に、景観構造などの環境因子と移動との関係を理解する。具体的には、課題1:クマの移動ナビゲーションに影響する要因間にインタラクションは存在するのか?、特に外的要因と他個体の影響を評価を行う。 本年度は、生態学的手法のうちintegrated Step Selection Analysisを用い、ツキノワグマの行動面での特定の景観に対する選択性と移動パターンの特徴を解明する。その結果、ツキノワグマは景観の中でも道路景観に対して特異な行動を示し、 繁殖期(夏)には成獣オスはあらゆる種類の道路付近を好むが、昼間は夜間と比較して道路から離れた場所を好んだ。また、幹線道路付近では動きが鈍く、非幹線道路付近では動きが速かった。一方、成熟メスは、幹線道路に近い場所を避け、非幹線道路に近い場所を好んだ。しかし、成獣メスは、日中は道路から離れた場所を好んだ。一方、秋(過食期)は雌雄ともにすべての種類の道路付近で選択性を示さず、さらに日中はすべての種類の道路から遠い場所を好む傾向が見られた。本結果は、ツキノワグマは一般的に道路をリスクとして認識しており、人間が改変した景観に対するクマの性別固有の違いは季節に依存することを示唆した。 以上より、ツキノワグマの保全と管理を実施するうえでは、人間が改変した景観に対するツキノワグマの影響について性差を考慮する必要があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果はすでに投稿しており、次年度の解析に向けては準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は情報工学的手法により、A02フィジカル班と共同で、AIにより個体ごとの行動の変化に影響する環境因子を特定するとともに、個体間の行動を同期するトリガーとなる因子を把握する。さらに、動物へのマルチプルロガーの装着と介入実験により、単独性動物におけるコミュニケーションの有無と、行動への影響の検証を行う。
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[Book] 哺乳類学2022
Author(s)
小池 伸介、佐藤 淳、佐々木 基樹、江成 広斗
Total Pages
416
Publisher
東京大学出版会
ISBN
4130622315
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